東芝がMicrosoft 365 Copilotを活用し、1万人規模への展開で月5.6時間/人の業務削減と年間約20万時間の工数圧縮を実現した。7万件の社員アンケートコメント分析は3ヶ月から1日に短縮され、施策の反映サイクルが大幅に変わった。
1万人展開を決断した理由——問題は見えていた、対応が追いつかなかった
東芝は電機・インフラ・半導体など幅広い領域で事業を展開する日本の大手メーカー。事業再建を進める中で、生産性向上と働き方改革は経営の最優先課題のひとつだった。
現場では毎日、会議の議事録作成・メール処理・文書の要約が積み重なり、社員の時間を奪っていた。なかでも深刻だったのが社員アンケートの分析だ。7万件を超えるコメントを手作業でテキスト分析するには最低3ヶ月が必要で、そこから施策を立案・実行するまで半年近くかかることもあった。問題は把握できているのに、対応が常に後手に回る状態が続いていた。
展開の設計——業務を絞り、効果を測れる仕組みから始める
東芝はMicrosoft 365 Copilotを段階的に導入し、最終的に1万人への展開を完了した。会議後の議事録自動生成、メール起草、文書サマリーという「量が多く繰り返し発生する業務」から始め、適用範囲を広げていった。
同時に、Microsoft Viva Insightsとの連携で利用状況と時間削減効果を継続計測できる仕組みを整えた。「Copilotを配って終わり」ではなく、どの業務でどれだけ時間が縮んだかを数値で追える体制を最初から設計した点が特徴的だ。社員アンケートのコメント分析にもCopilotを活用し、7万件を一括処理できる運用に切り替えた。
成果——月5.6時間削減、3ヶ月が1日になった
展開後の成果は数字に表れた。1人あたり月5.6時間の作業削減を達成し、1万人規模では年間約20万時間に換算される。
7万件の社員アンケートコメント分析は3ヶ月から1日に短縮。約90倍のスピードで分析が完了するようになった。施策への反映も早まり、社員の声が経営判断に反映されるまでのサイクルが大幅に速くなった。
なぜ成果が出たか——3つの設計ポイント
東芝の取り組みには、再現できるポイントが3つある。
まず、業務を絞って始めたこと。議事録・メール・アンケート分析という「量がある業務」に適用先を限定し、効果が出やすい場所から展開した。全員に「好きに使ってください」と配るのではなく、ユースケースを先に定義した。
次に、効果測定を最初から組み込んだこと。Microsoft Viva Insightsによる継続計測が、「使っているかどうか」ではなく「どれだけ削減できたか」を社内で説明できる状態にした。
最後に、経営課題と直結させたこと。生産性向上が再建計画の核にある東芝にとって、Copilot導入は試験的な取り組みではなく戦略的投資として位置づけられた。PwCが23万人にCopilotを展開して1.5億ドルを削減した事例でも、経営主導の全社展開設計が成果の鍵になっていた。
自社に置き換えるポイント
月5.6時間は「1人あたり」の効果だ。50人の組織なら月280時間、200人なら月1,120時間になる。Copilot導入の効果試算は単純な掛け算で出せる。
まず洗い出したいのは、社内で繰り返し発生する定型業務の工数だ。議事録作成・メール整理・報告書の下書きなど、「量がある」業務ほど効果が大きい。WSP Globalではエンジニア全社展開で84%が毎日時短を実感しており、専門職でも効果が出ることが確認されている。
Viva Insightsのような効果測定ツールとセットで展開すれば、経営陣への説明と現場の継続使用のどちらにも使えるデータが残る。東芝の1万人での成果は、その設計の積み重ねの上にある。
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「東芝でできるなら、うちでも」と思った方は多いんじゃないかと思います。
数字が出るまでに工夫があったのが印象的でした。使いたい業務を絞って、測れる仕組みから先に作った——この順序が大事だなと。
まず1業務、1チームから試してみてください。月5.6時間は意外と近くにあります。