Tiendas CuadraがMicrosoft Copilot Studioを活用し、月400件超のCS問い合わせを解決率100%で自動化。4名のチームが定型対応から完全に解放され、顧客体験の向上に集中できる体制を実現した。
急増するオンライン問い合わせを4人でさばく限界
Tiendas Cuadraはメキシコ発のプレミアムレザーブランド。革製品の品質にこだわった商品をECと実店舗で展開し、顧客層は製品へのこだわりが強い。問い合わせ内容も細かい。素材の詳細、配送の状況、返品対応の手順——4名のCSチームが毎月400件超を手動で受け付けていた。
問題は量だけではなかった。回答内容が担当者によってばらつき、ピーク時には対応が遅れる。チームの時間の大半が定型的な質問に費やされ、顧客体験を改善する余裕はなかった。このままオンライン販売が伸びれば、人員を増やすしかない状況だった。
Dynamics 365と連携したAIエージェントをローコードで構築
導入したのはMicrosoft Copilot Studio。ローコード環境でAIエージェントを設計し、Dynamics 365と連携して製品情報・注文ステータス・返品ポリシーをリアルタイムで参照できる仕組みを構築した。
単なるFAQボットではなく、文脈を理解して回答を組み立てるエージェント設計にこだわった。「先週注文したサイズXXのバッグがまだ届いていない、どうなっているか」といった複合的な問い合わせにも対応できる。専任エンジニアを置かず、既存のDynamics 365環境を活かしたことで、実装のスピードと精度を両立させた。
解決率100%・品質スコア88%以上を4名で維持
本稼働後、月400件超の問い合わせを自動解決。解決率は100%、回答品質スコアも88%以上を記録している。4名のCSチームは手動対応からほぼ解放され、例外的なケースや顧客との関係構築に集中できる体制になった。
問い合わせの61%を自動解決したSoFi Technologiesのような大手と比べると規模は異なるが、解決率では上回る。小売ブランドの問い合わせはパターンが絞りやすく、AIエージェントの精度を高めやすい特性がある。
成功の鍵は「範囲の絞り込み」と既存データの活用
よくある失敗は最初から全件を自動化しようとすること。Tiendas Cuadraはまず定型回答できる問い合わせのパターンを整理し、AIエージェントが確実に答えられる範囲から始めた。Dynamics 365にすでに蓄積されている注文・製品データをそのまま活用したことで、AIが正確な情報を引き出せる土台ができた。
CSの自動化に取り組むなら、AIエージェント導入の始め方を参考に、まず問い合わせの分類から着手するのが現実的だ。
専任エンジニアなしで始められるCS自動化
Copilot Studioのローコード環境は、特別なIT部門がなくても実装できる。EC・小売のCS担当者にとってこの事例が示すのは「大企業の話ではない」という事実だ。小規模チームでも、既存のMicrosoft環境があれば同様のアプローチが取れる。
まず自社の月間問い合わせのうち、定型回答できる件数を数えてみることから始めてほしい。AIでカスタマーサポートを効率化する実践的な手法も合わせて参考になる。
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少人数チームで問い合わせ対応に追われている方、これは他人事じゃないと思いながら書きました。
解決率100%という数字は派手に見えますが、「まず定型回答できる範囲を絞る」という地道な準備があってこそ。技術よりも設計の話だったのが印象的でした。
既存のDynamics 365があれば今日から動ける。ぜひ一歩踏み出してみてください。