TELUSがClaudeとFuel iX(MCP基盤)を活用し、57,000人の全社AI化で500,000時間以上の削減と9,000万ドル超のビジネス価値を創出しました。
部門ごとにAIがバラバラ——5万人規模の統一基盤問題
カナダ最大級の通信企業TELUSが直面していた課題は、多くの大企業に共通するものです。AIツールは社内に存在していました。ただし、部門ごとにバラバラでした。エンジニアはコーディング支援ツールを使い、マーケターは別のツールを使い、その成果はサイロに閉じていました。「AIを使っている」と「AIで組織全体が変わる」の間には、大きな距離がありました。
57,000人規模の組織でAIを統一的に展開するには、ツールを配布するだけでは足りません。誰がどのAIをどう使うかを設計する統一基盤が必要でした。
AnthropicのClaudeとMCP基盤で社内AIを統一
TELUSが選んだのは、AnthropicのClaudeと自社開発のFuel iX(MCP基盤)の組み合わせです。
MCPとはModel Context Protocolの略で、AIがさまざまな社内ツールやデータソースと連携するための共通仕様です。Fuel iXはこのMCPを活用し、各部門のシステムとClaudeをつなぐAI基盤として機能しました。エンジニアリングチームはコード出荷速度を30%向上させました。デザイン・PM・データサイエンスのチームも、それぞれが独自のAIソリューションを構築できるようになりました。
社内で生まれたカスタムAIソリューションは13,000件を超えています。全社的なAI活用を推進するには、個々の部門がツールを選ぶ自由を残しながら、セキュリティとガバナンスは共通基盤で担う設計が鍵でした。
500,000時間削減、9,000万ドル超のビジネス価値
削減された工数は500,000時間以上です。エンジニアリング部門だけでなく全社横断で積み上がった数字で、ビジネス価値換算で9,000万ドルを超えました。コスト削減と効率化の合算ではなく、AIによって生み出された価値の総額として報告されています。
大企業のAI全社展開として、EricssonがSAP Jouleで85,000人に展開し年間9万時間を削減した事例やPwCが23万人にCopilotを全社展開し1.5億ドルを削減した事例と並ぶ水準の成果です。
「AIを個人の工夫の話にしなかった」ことが成功要因
Fuel iXというMCP基盤を設けることで、どの部門がどのツールと連携するかを統一的に設計できました。Claudeという単一のAIを中心に据えることで、セキュリティポリシーやデータガバナンスも一元管理できました。
「ツールを渡して、あとは各自で工夫してください」では57,000人規模の展開はできません。基盤を作って、使えるようにして、計測する。TELUSはこの順番を丁寧に踏みました。
自社のAI展開に活かすには
自社のAI活用状況を棚卸しすると、部門間でツールがバラバラになっているケースは多くあります。MCPのような標準仕様を使えば、既存システムとAIをつなぐコストを大幅に下げられます。全社一斉展開でなく、成果が出やすい部門から始めて横展開するアプローチも有効です。
「誰がどのAIを使っているか」を把握できていない組織が最初に取り組むべきは、ツールの追加でも使い方研修でもなく、基盤の設計です。
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「うちは大企業じゃないから関係ない」と感じた方も多いかもしれません。でも、AIがバラバラに使われているという悩みは、規模に関わらず同じです。
今回の事例で印象的だったのは、13,000件ものAIソリューションが「IT部門」ではなく「現場の人たち」によって作られたこと。基盤さえ整えば、AIは誰でも使えるツールになります。
まず自社のAI利用状況を一度棚卸しするところから始めてみてください。