DominaがGoogle Vertex AI×Geminiを活用し、年間2,000万件の荷物追跡データをリアルタイムで自動処理。配送有効性が15%向上し、手動レポート作業がゼロになった。
データはある、でも動けない——物流現場が抱えていた矛盾
コロンビアの宅配企業Dominaは、年間2,000万件以上の荷物を処理する物流会社だ。これだけの規模になると、配送ステータス・返品予測・ルート検証といったデータが毎日大量に蓄積される。
問題は、そのデータを使いこなせていなかったことにある。担当者は手作業でスプレッドシートをまとめ、レポートを作り、状況を確認していた。データがリアルタイムで見えないため、配送トラブルへの対応は後手に回る。「データはある、でも動けない」——そんな状況が続いていた。
Google Vertex AI×Geminiで、追跡と予測を自動化した
Dominaが選んだのは、Google Vertex AIとGeminiの組み合わせだ。毎日発生する荷物追跡データをVertex AIに流し込み、Geminiがリアルタイムで状況を解釈・可視化する仕組みを構築した。
特に効果を発揮したのが返品予測と配送検証の自動化だ。過去の配送履歴・住所データ・受取人の行動パターンをもとに、AIが「この荷物は返品リスクが高い」と自動で判定する。これまで担当者が手で確認していた作業が、AIによるリアルタイム処理に置き換わった。
Google Cloudのインフラを活用したことで、スケールへの対応も問題なかった。月に数百万件のトランザクションが追加で発生しても、システムはそのまま追従できる設計になった。
リアルタイムデータ80%改善・配送精度15%向上
導入後の変化は数字で明確に出た。リアルタイムデータへのアクセスが80%改善し、手動レポートの作成業務はゼロになった。配送有効性(荷物が予定通りに届く率)は15%向上している。
年間2,000万件のトランザクションを処理しながら、これだけの改善を達成した。以前は複数の担当者が手を動かしていたレポーティング業務が、AIパイプラインで完全に自動化されたかたちだ。
なぜうまくいったか——「データ収集」から「データ活用」への転換
Dominaの成功要因は、AIを「分析ツール」ではなく「業務プロセスの中核」に置いたことにある。データを溜めて後から分析するのではなく、リアルタイムで判断できる仕組みに変えた。
Vertex AIとGeminiが強みを発揮したのは、構造化データと非構造化データの両方を扱えるからだ。住所や時刻のような数値データも、配送メモやドライバーのコメントのようなテキストも、同じパイプラインで処理できる。物流の現場は「きれいなデータ」だけでは動かない。そこへの対応が、精度向上につながった。
MacquarieがGoogle Gemini Enterpriseを全社導入した事例でも、AI定着の鍵は「データの一元化」にあった。ツールの性能より先に、データの流れを整えることが重要なのだと、Dominaの事例は改めて示している。
自社に活かすなら——「何を自動判断したいか」を一つ決める
物流・EC・小売業がこの事例から学べる最大のポイントは、「AI導入前のデータ整備が成果に直結する」という事実だ。Dominaも最初から完璧なデータ基盤を持っていたわけではない。追跡データを一元化し、AIに流せる形を作るところから始めた。
Google Cloud上でVertex AIとGeminiを試すのは、現実的な選択肢の一つだ。重要なのは「どのデータを使って、どの判断を自動化したいか」を先に決めることだ。返品予測なのか、在庫補充のタイミングなのか、配送ルートの最適化なのか——目的を一つに絞ると、AIは意外なほど早く動き始める。AI導入の始め方で迷っているなら、まず小さな自動化から試してみるのが近道だ。
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毎日大量のデータが積み上がっているのに、それを活かす時間がない——そんなジレンマ、物流だけじゃなくどの業種にもありますよね。
DominaのケースでInspiring だったのは、AIが「最初から完璧」じゃなくてもいい、というところ。まず追跡データの流れを整えたら、Geminiはちゃんと応えてくれました。
「うちの業界には難しい」より、「何を一つ自動判断させるか」を先に決めるほうが、ずっと速く前に進めます。