Commercial Bank of Dubai(CBD)がMicrosoft 365 Copilotを活用し、800名への全社展開で年間39,000時間の業務削減を実現した。
800名の行員が抱えていた「繰り返しの壁」
CBDは、UAEの主要商業銀行として個人・法人の幅広い顧客サービスを提供している。成長を続ける中東金融市場で競争力を維持するには、スピードと正確さが同時に求められる。しかし現場では、メール起案・会議後の記録作成・長い文書の要約といった定型作業が行員の時間を日々奪っていた。
顧客と向き合う時間が足りない。でも事務処理は山積している。このギャップは、規模や業種を問わず多くの職場で起きていることだ。規制が厳しい金融機関ではAIツールの安全性への不安も重なり、「まだ様子見でいい」と判断しているうちに業務効率化の機会を逃してしまう企業は少なくない。
「Promptathon」——ツールを配っただけで終わらない展開設計
CBDがとったアプローチは、ツールを配って終わりにしない展開設計だった。
Microsoft 365 Copilotを800名以上に展開するにあたり、同社は「Promptathon」と名付けた社内イベントを実施した。行員が実際の業務シーンでCopilotをどう使うかを競い合い、ベストプラクティスを全社で共有する場を設けたものだ。参加者はメール下書き・会議要約・社内文書の検索といった実務に即したタスクをこなしながら、AIを「使えた」という体験として積み上げていった。
Microsoft 365はコンプライアンス機能を標準搭載しているため、金融業界の規制環境にも対応できた。CBDが乗り越えるべき課題は技術的な問題よりも、「いかに行員に習慣として使ってもらうか」だった。Promptathonはその課題に直接応えるものだった。
年間39,000時間——規制業界でも全社展開は現実になる
展開の結果、CBDは年間39,000時間の業務削減を達成した。800名以上が日常業務でCopilotを活用する体制が整い、メール作成や議事録整理といった反復作業に消えていた時間が、本来業務へと解放された。
Microsoftの公式カスタマーストーリーに掲載されたこの成果は、「規制が厳しいからAIは難しい」という思い込みに対する明確な答えだ。東芝が1万人にMicrosoft 365 Copilotを展開し年間20万時間を削減した事例と同様に、既存のMicrosoft 365基盤を持つ組織であれば、新たなシステム構築なしに全社AI展開が実現できる。
定着率を決めるのは「自分事」にできるかどうか
CBDの成功要因は明快だ。AIを「会社として導入したシステム」ではなく、「自分の仕事を楽にするツール」として行員が感じられるかどうか。
競争要素を盛り込んだ体験型の定着施策は、一般的な研修よりも圧倒的に記憶に残る。「使い方を学んで終わり」ではなく、「自分の業務での勝ちパターンを見つける」体験が定着率を引き上げた。WSP GlobalがMicrosoft 365 Copilotをエンジニア全社展開した事例でも、ユーザーの84%が毎日時短効果を実感するに至ったのは、現場主導の活用推進があったからだ。
「Promptathon」は銀行でなくても再現できる
この手法は金融業界に限らない。メーカー・小売・医療・公共機関など、規制環境の中でAI展開に踏み切れていない組織すべてに共通するヒントがある。
まず、Microsoft 365のような既存プラットフォームのAI機能を活用すれば、セキュリティ審査のコストが抑えられる。次に、ツールの配布と同時に「使った人が報われる場」を作ることで、活用が義務ではなく行動変容として広がる。50人規模の部署でも、1日のワークショップ形式でPromptathonは再現できる。
年間39,000時間という数字は大きく見えるが、800名が日々の定型作業を平均1時間削減できれば、1年でこのスケールになる。小さな積み重ねが、組織全体の競争力を変える。
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「AIツールを配ったのに誰も使わない」——そんな悩みを抱えている組織、多いと思います。
CBDの「Promptathon」が面白いのは、競争や共有という人間らしい仕掛けでAI活用を自発的な行動に変えたところ。規制業界でもここまでできる、という証明が出た事例です。
自社でやるなら、まず1部門・1日のミニPromptathonから。きっと想像以上に盛り上がるはずです。