RobinhoodがServiceNow AI Agentsを活用し、社内IT・HR・法務にまたがるリクエストの70%を人間の介入なしに自動解決している。
毎月1,300チケットが担当者の時間を奪っていた
Robinhoodは数百万人のユーザーを抱える米国の株式取引プラットフォームです。急成長と規制対応が続く中、社内では別の問題が静かに積み上がっていました。IT・HR・法務の3部門に毎月大量の社内問い合わせが届き、担当者の本来業務を圧迫し続けていたのです。
パスワードリセット、ソフトウェアのアクセス申請、入退社手続き、契約書の確認——定型的な作業でも、一件一件に人が対応しなければなりませんでした。月間1,300チケット、換算すると2,200時間分の工数が定型業務に吸い取られていた状況です。
ServiceNow AI AgentsをIT・HR・法務に同時展開
選んだのはServiceNowの「Now Assist」です。既存のServiceNowプラットフォーム上に展開できるため、新たなシステム移行なしに導入を進められました。
展開は一部門に限定せず、IT・HR・法務の3部門を同時に対象としました。各部門の典型的なリクエストパターンをAIに学習させ、問い合わせが届いた段階でAIが自律的に回答・処理・完結する設計です。人間へのエスカレーションは、AIが対応しきれない複雑なケースのみに絞り込みました。
70%が人の手を介さずに完了、月2,200時間を回収
導入後、社内リクエストの70%がAIエージェントによって自動解決されるようになりました。月間1,300チケット・2,200時間分の手作業が削減されています。
担当者の変化は時間節約だけではありません。ITチームはセキュリティ強化やシステム改善へ、HRチームは採用戦略や人材開発へ、法務チームはリスク管理や契約交渉へ——それぞれが本来注力すべき業務に集中できる環境が整いました。
既存データの上にAIを乗せる設計が効いた
成功の核心は「既存プラットフォームの活用」にあります。ServiceNowはもともとITサービス管理ツールとして導入されていたため、AI機能の追加は既存データと業務フローの上に乗せるだけで済みました。ゼロからシステムを構築する必要がなく、導入コストと学習コストを大幅に抑えられています。
3部門を同時展開した点も重要です。部門ごとにバラバラなツールを使う状態を避け、リクエスト処理を統一基盤で管理することで、AIの学習データが蓄積され、精度が向上し続ける仕組みになっています。
社内業務からAIエージェントを始める現実的な一手
Robinhoodのケースは、外向けカスタマーサービスより先に社内業務へAIを導入したという点で珍しい事例です。カスタマーサービスへのAI展開は外部への影響が大きく慎重さが求められますが、社内ヘルプデスクは影響範囲をコントロールしやすく、試行錯誤のコストが低い。
フィンテック企業のSoFi TechnologiesがSierra AIで顧客問い合わせの61%を自動解決した事例と並べると、「AIが7割を処理する」という水準が特殊ではなく、現実的な到達点として見えてきます。
HRや採用担当者にとっては、AIエージェントをHR業務に活かす具体的な切り口も参考になります。情シス・HR・法務を抱える組織であれば、まず社内問い合わせ対応からAIエージェントを試してみるのは、リスクを抑えながら確実な成果を出せる選択肢のひとつです。
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社内ヘルプデスクって、どこの会社でも「後回し」にされがちな問題ですよね。毎日同じような質問に答え続けているIT担当者やHRの方の苦労が、この数字に詰まっている気がします。
Robinhoodのおもしろいところは、カスタマーサービスより先に社内業務へAIを入れた判断です。影響範囲をコントロールしながら月2,200時間という具体的な成果を出している。外向けから始めなければいけないわけじゃない、というのがこの事例の一番の気づきでした。
御社の情シスやHR担当者も、同じ壁に当たっているかもしれません。まず身内からAIを試してみる——その選択肢が、ここにあります。