Quilterが Microsoft 365 Copilot を活用し、ファイナンシャルアドバイザーが毎日費やす通話後の管理業務を月13,000時間以上削減した。社内のあらゆる技術投資の中で「最短のROI」という評価を受けた事例だ。

通話が終わってから始まる、見えにくいコスト

Quilterは英国最大級の個人向け資産運用・投資アドバイスプラットフォームだ。ファイナンシャルアドバイザーが富裕層クライアントと電話で話した後、その内容の記録、フォローアップタスクの整理、システムへの入力という一連の「後処理」に毎日相当な時間をとられていた。

問題は、この作業を担うのが最も人件費の高いスタッフ層だという点だ。処理が非効率であるほど、組織全体の損失が大きくなる。数字には表れにくいが、確実に膨らんでいるコストだった。

最もコストの高いスタッフへの集中投資

QuilterはMicrosoft 365 Copilotを組織全体に導入したが、特に注力したのはファイナンシャルアドバイザーの通話後ワークフローへの適用だ。通話が終わると、Copilotが会話の要点を自動で要約し、フォローアップアクションを提示する。アドバイザーは確認・修正するだけでよく、一から記録を作る手間がなくなった。

全スタッフへの一律配布ではなく「誰の業務に当てるか」を先に設計した。それが早期ROIにつながった。

月13,000時間削減、そして社内「最速ROI」

ポストコール管理業務だけで月13,000時間以上の削減を見込む試算が出た。さらにQuilterは、「これまでのあらゆる技術投資の中で最短のROI」と評価している。金融機関では新システムの回収に数年かかることも多い。CopilotはQuilterの現場で導入後すぐに使われ、すぐに時間削減という成果として現れた。

なぜポストコール業務でこれほど効果が出たのか

繰り返し発生する、形式が決まっている、専門職が毎日こなしている——この三条件が重なる業務はAIの最優先ターゲットになる。Quilterのポストコール業務はその条件をすべて満たしていた。時間単価が高いロールへの集中適用が、コスト削減の効果を最大化した。

自社で活かすなら、まず「誰の後処理か」を問う

コールセンター、金融、保険、不動産、医療など、通話後の記録・要約・フォローアップ作成が定常的に発生する業種はどこでも応用できる。KlarnaはAIで顧客対応時間を11分から2分に短縮したが、Quilterが示したのはその「内側の業務」への適用だ。CS担当者自身の後処理コストを削ることで、同じ人数で動ける件数が増える。

AI導入で先行する企業は、ツールを全員に配るより前に「誰の時間を解放するか」を決めている。Unifiが100ページの労働協約を数日から数分に短縮した事例でも、専門職の定型業務に絞って適用することで即効性を出した。対象を絞る。それが最速ROIへの最短経路だ。

ドリップドリップ(執筆)

通話後の記録作業って、やってみるとひたすら地味で消耗するんですよね。あれを毎日やっているアドバイザーの気持ち、すごくわかります。

今回の発見は「誰の時間を解放するか」を先に決めた点です。ツールを配って「使ってください」ではなく、最高コスト層の業務に狙いを定めた。そのシンプルな設計が最速ROIを生んだ。

「うちには関係ない」と思ったとしたら、社内で一番時間単価が高い人が毎日やっている定型作業を一度洗い出してみてください。意外と見落としている候補があるはずです。

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