Medtronicが会話型AIエージェント「Teneo AI」を活用し、年間600万ドル(約8億4,000万円)のコスト削減と36,000エージェント時間の節約を、わずか10週間で達成した。

63カ所のコンタクトセンターで誤転送が慢性化していた

Medtronicは年商300億ドルを超える世界最大級の医療機器メーカーで、心臓ペースメーカーや手術支援ロボットなど高度な製品を世界に展開している。その規模を支えるカスタマーサービスは63カ所のコンタクトセンターに2,000人以上のエージェントが稼働する大組織だ。注文管理・技術サポート・請求・アカウントサービスにまたがる複雑な問い合わせが毎日大量に届き、担当部署への誤転送が常態化していた。顧客は何度もかけ直し、エージェントも定型的な振り分け対応に時間を取られ、専門的なサポートに集中できない状況が続いていた。

医療規制をクリアしたAIエージェントを10週間で全センターへ展開

Medtronicが選んだのはTeneo AIの会話型AIエージェントだ。注文状況の確認から技術的な問い合わせ、請求確認まで、電話の一次対応を幅広くカバーする。医療機器業界では患者情報を扱うHIPAAや決済情報に関するPCI DSSへの準拠が必須で、汎用のAIツールをそのまま導入できないケースが多い。Teneo AIはこれらのコンプライアンス要件を設計段階から組み込んでおり、規制対応の検証コストを大幅に下げた。導入決定から全63センターへの展開完了まで、わずか10週間だった。

誤転送55%減・待ち時間37%短縮・精度99%

成果は数字で出た。誤転送率が55%削減し、顧客の待ち時間は37%短縮。AIの応答理解率は90%、精度は99%に達した。年間のコスト削減額は600万ドル(約8億4,000万円)で、解放されたエージェント時間は36,000時間にのぼる。人間のエージェントは高度な技術サポートや複雑な問い合わせへの対応に集中できるようになり、サービス全体の質も向上した。

「規制対応を後付けにしない」が成功の分岐点

成功の核心は、コンプライアンスを最初から設計に組み込んだ点にある。AI導入では、セキュリティや法規制への対応が後回しになり、本番展開直前で止まるケースは少なくない。Teneo AIはHIPAAとPCI DSSへの準拠を前提にしていたため、Medtronicは「使えるかどうか」の検証フェーズを短縮できた。規制業界だからこそ、最初から対応済みのツールを選ぶ判断が、導入スピードを変えた。

コンタクトセンターのAI化、最初に確認すべきは「誤転送率」

今回の取り組みで最初に可視化されたのが誤転送率だ。自社のコンタクトセンターへのAI導入を検討するなら、まずこの数字を把握してほしい。誤転送が多い箇所は問い合わせの分類やルーティングに構造的な問題があり、AIが最も即効性を発揮しやすい領域でもある。オーストラリアの健康保険大手nibも、AIアシスタント「Nibby」でCS問い合わせの60%を自動化し、累計32億円のコスト削減を達成した。業種が違っても、課題の構造と解決のアプローチは重なる部分が多い。

ドリップドリップ(執筆)

電話のたらい回し、受けたことがある人なら「あの感覚」はすぐわかると思います。何度転送されても解決しない、あの消耗感です。

医療機器という一番ハードルが高そうな業界で、10週間で全社展開を完了させたのは正直驚きでした。「うちは規制があるから無理」が言い訳にならない事例です。

まず自社の誤転送率を調べてみてください。その数字が、次の打ち手を教えてくれるはずです。

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