3社から届いた見積書。品番も条件も形式もバラバラで、比較表にまとめるだけで1時間が消える。そこから断りメール、価格交渉の返信文——調達担当の午前中が、こういう繰り返し作業で終わっていないだろうか。本来やりたいのは「どこに発注するか」の判断のはずなのに、その前段階の作業量が多すぎる。

Claudeに見積書を全部渡す

見積書のテキストを3社分コピーして、Claudeに貼る。プロンプトはこれだけでいい。

「以下の3社の見積書を比較してください。単価・納期・最低発注数・保証条件・備考の5項目で表にまとめて、どこが優位かを一言で教えてください。」

10分かからず比較表が出来上がる。見落としがちな備考欄の条件も自動で拾ってくれる。各社の形式が違っていても、Claudeは情報を読み解いて統一した表にまとめる。人間がやっていた「フォーマットを統一する」作業がそっくりなくなる。AIに整理させてから人間が判断する流れにすると、表を作るための1時間が丸ごと戻ってくる。

交渉メールは条件を箇条書きで渡す

値引き交渉のメールを毎回ゼロから書いていないだろうか。Claudeは「相手の立場も踏まえつつ明確に値引きを求める文面」を出力できる。渡すのは条件の箇条書きだけでいい。

「B社の見積が単価◯円で、A社への再見積をお願いしたい。丁寧だが明確に希望を伝える交渉メールを書いてください。【B社単価】【希望単価】【発注数量】【回答期限】」

「丁寧だが明確に」と指定するのが重要で、曖昧なままだと腰が引けた文面になる。出てきた文面を読んで、トーンを自分の感覚に合わせて少し直す——それだけでいい。

旭化成が証明した「定型を渡す」という考え方

旭化成は、サプライヤーへの品質問い合わせ対応で平均25時間かかっていた業務を、生成AIで7工程のうち5工程を自動化することで半分以下に短縮した。全工程を自動化したわけではなく、「定型化できる工程だけAIに渡した」のがポイントだ。物流・SCM領域でも同じ考え方が広がっている

調達業務に置き換えると、見積書の比較・断りメールの初稿・交渉文面の初稿の3つは十分に定型化できる。最終判断と送信は人間がやる。それだけで週に3〜4時間が戻ってくる。

断りメールこそAIに書かせる

意外と消耗するのが、採用しなかった業者への返信だ。関係を壊さず、でも明確に辞退する文面を毎回考えるのはストレスがかかる。「今回は見送るが、次回の引き合いでも声をかけたいという前提でお断りメールを書いて」とClaudeに渡すと、意図をきちんと反映した文面が出てくる。

件名も含めて出力されるので、あとはコピーして送るだけ。調達のコミュニケーションは繰り返しが多い。その繰り返しをAIに任せる準備に30分かけるだけで、その後の数ヶ月が変わる。

調達の仕事って、実は「書くこと」が多いですよね。見積書が届くたびに比較表を作って、返信メールを書いて——それ自体がひとつの業務になっています。

AIに渡す前提で整理してみると、自分が本当に判断すべきポイントが意外とシンプルだと気づくことがあります。

まず1枚の見積書から試してみてください。

コピペで使えるプロンプト集

① 複数社の見積書を比較して優劣を整理する

複数のサプライヤーから見積書が届いたとき

以下に【社数】社分の見積書を貼ります。下記の項目で比較表を作成してください。
・単価
・納期
・最低発注数(MOQ)
・支払条件
・保証内容・期間
・備考(条件の付記があれば)

比較後、総合的に最もコストパフォーマンスが高い選択肢を理由とともに1〜2文で教えてください。

【見積書1】(ここに貼り付け)
【見積書2】(ここに貼り付け)
調達・購買ベンダー管理

② 価格交渉メールの初稿を作る

希望単価への値引き交渉が必要なとき

下記の条件でベンダーへの価格交渉メールを書いてください。
・相手方:【社名・担当者名】
・現在の見積単価:【金額】円
・希望単価:【金額】円
・発注予定数量:【数量】
・競合他社(B社)の見積を参考に交渉している旨を伝えてよい
・トーン:丁寧だが価格改善の意図が明確に伝わるもの
・社内承認期限:【日付】のため、回答期限を設ける

件名も含めて作成してください。
調達・購買ベンダー交渉

③ 採用しなかった業者への丁寧な断りメール

比較検討後に辞退を伝えるとき

下記の状況でベンダーへのお断りメールを書いてください。
・相手方:【社名・担当者名】
・今回見送る理由:【価格面/仕様面/納期面から選択。複数組み合わせ可】
・今後の関係:次回の引き合いでも声をかけたい意向
・トーン:感謝の気持ちを伝えつつ、長期的な関係継続を示す丁寧なもの

件名も含めて、400文字以内のビジネスメールとして作成してください。
調達・購買ベンダーコミュニケーション