決算発表が近づくと、IR担当者の仕事は一気に重くなる。スライドを作りながらQ&Aも用意して、競合比較表も更新して、社内確認も回す。ツール自体は揃っているのに、作業時間が削れない。「これはMicrosoft 365 Copilotで効率化できるはずだが、何から試せばいいのかわからない」という声は少なくない。
使い始めるとわかるのは、Copilotが得意なのは「情報を集めて整形する」作業だという点だ。逆に、最終的な判断や経営陣との温度感を要する部分は人が担う必要がある。IR業務でその境界線を意識して使うと、時間の使い方が変わってくる。
決算説明資料の骨格はCopilotに出させる
財務データや事業サマリーをExcelやWordに用意した状態で、Copilotに「Q4決算のハイライトを5枚のスライドに構成してください。売上・利益・見通しの3軸で整理してください」と指示する。数分で叩き台が返ってくる。
「完璧な資料を出してもらおう」という発想で使うと失敗しやすい。素材として使い、自分が判断・修正すべき箇所だけ残す形が正しい使い方だ。1から書けば3時間かかる作業が、修正に集中する30〜40分になる。この差は積み重なると大きい。スライドの言葉選びや経営メッセージとの整合性確認は、引き続き人がやる領域だ。
Q&Aシナリオの網羅はCopilotに任せる
決算説明会でのアナリストからの質問は事前に準備できるが、想定の抜けがあると場が荒れる。Copilotに過去の議事録や業界ニュースを読み込ませて、「機関投資家から想定される批判的な質問を15件出してください。各質問に対し、当社の立場からの回答案も示してください」と依頼する。
質問の粒度や精度はばらつくが、「この質問は自分では思いつかなかった」という気づきが出やすい。網羅する作業をCopilotが担い、回答の最終チェックを経営陣と行う流れにすると、準備の密度が変わる。回答の言葉選びや経営方針との整合性確認は、まだ人がやる領域だ。
競合比較表の更新は毎回ゼロから作らない
競合他社の決算が出るたびに、プレスリリースやIR資料から数字を拾って比較表を更新する作業は単純だが時間がかかる。Copilotは複数の資料を読み込んで比較できるため、「この3社の決算ハイライトを売上成長率・営業利益率・ガイダンス修正の3軸で比較してください」と依頼すれば、表形式の素材が出てくる。
数字の最終確認は必ず人の目で行う。ただ、フォーマット作成と初期データ整理という前半部分をCopilotが担うことで、解釈と判断に集中できる時間が増える。金融サービス分野では、Microsoft 365 Copilotの導入で月1.3万時間削減を達成した事例もあり、IR業務への応用は現実的な選択肢だ。
IR業務は公開情報と非公開情報の両方を扱うため、ツール選びには情報管理の観点が必要だ。Copilot for Microsoft 365は社内のMicrosoft環境内でデータを処理する設計のため、外部へのデータ流出リスクを抑えながら使える。決算期の直前ではなく、準備フェーズから少しずつ使い始めるのがいい。
決算期の追い込みって、毎回「今年こそ余裕を持って準備しよう」と思いながら気づいたら前日深夜、というのあるあるですよね。
「任せていい作業」と「自分でやる作業」を切り分けて考えると、Copilotの使いどころがグッとクリアになります。完璧を求めすぎずに、まず叩き台を出してもらう感覚から始めるのが正解です。
今期の準備フェーズで1つだけ試してみてください。その1回が来期の動き方を変えます。