プレスリリースを書く時間が気になっている。発表内容がまとまっても、受け取る記者の目線で文章にするまでが長い。何度も書き直して確認して配信して、終わるころには半日が経っている。広報担当者の多くが、このループに慣れてしまっている。

ChatGPTに草案を任せると、最初の1稿が15分で出てくる。たたき台があれば、あとは事実確認と文体の調整だけ。これだけで、1本あたりにかかる時間が2〜3時間から1時間を切るようになる。「書く」より「編集する」ほうが速い、というシンプルな話だ。

草案をChatGPTに渡す前の準備

まず、発表する製品・施策・人事の事実を箇条書きにする。日本語で5〜10行あれば十分。それをChatGPTに渡して、「プレス向け日本語リリース、記者が最初の2行で判断できる書き出し、800字以内」と指示する。この指示の具体さが仕上がりを決める。「わかりやすく書いて」では機能しない。媒体・文字数・構造の3点を明示すると精度が上がる。

出てきた下書きを確認しながら、自社のトーンや業界の慣例に合わせて修正する。情報が抜けていれば追記し、表現が硬ければ崩す。この工程で30〜40分。最初から書くと2〜3時間かかっていたものが、1時間かからない。AIへの指示の渡し方を整理しておくと、次回から同じ品質が再現できる。

想定Q&Aの準備も同じ発想で動く。「記者から想定される質問10個と、広報視点での回答案を作って」と渡すだけで、インタビュー前の準備資料ができる。発表の内容と「強調したいポイント」「触れたくないトピック」を添えると、より実務に近い出力になる。

蓄積したデータを分析するのもAIの仕事になった

配信後の効果確認も変わってきた。クリッピング結果の集計や論調の分類を人力でやると、丸1日かかることがある。記事タイトル・媒体名・掲載日を貼り付けて「ポジティブ・ニュートラル・ネガティブに分類し、よく出たキーワードTop5と次の施策へのインサイトをまとめて」と渡せば、分析の骨格が30分で出てくる。

アサヒビールが2026年に公表した取り組みが、この方向性をよく示している。過去30プロジェクト・297サンプル分の消費者調査データをAIが横断分析し、ブランド戦略に使える8つのインサイトと48のインサイトフレーズを数日で抽出した(出典:マインディア公式サイト)。従来は数週間〜数ヶ月かかっていた集計が、AIで数日に縮まった事例だ。新たに調査を発注するのではなく、蓄積した過去データをAIが再活用した点が広報の仕事とも重なる。メディア露出のクリッピングや過去の取材対応履歴も、同じように「眠っている資産」として分析の素材になりうる。

プロンプトを持つ人が速くなる

プレスリリース・Q&A・SNS投稿の要約・発表素材の英訳など、広報の仕事は「一から書く」タスクが多い。これらを「プロンプトを持っておけば再現できる作業」として整理すると、次から次が速くなる。1本目を丁寧に作った指示書は、2本目から資産として使い回せる。

毎週月曜に15分だけ使い、その週のアジェンダに合わせたプロンプトを整える。発表のタイミングで素材を入れて実行する。そのサイクルが定着すると、広報の実務は少し静かになる。

プレスリリースって、書けば書くほど「もう少し良くできる」と思ってしまう仕事ですよね。

AIにたたき台を出してもらうと、その「もう少し」だけに集中できるのが一番の変化だと思います。アサヒビールの事例みたいに、眠っていたデータが使い物になる感覚、広報の仕事でも確かにあります。

まず1本、草案をChatGPTに任せてみてください。思ったより使えるところから始まります。

コピペで使えるプロンプト集

① プレスリリース草案を10分で作るプロンプト

新製品・サービス・人事発表前のリリース作成

あなたはプレス向け広報文書のエキスパートです。以下の情報をもとに、日本のメディア向けプレスリリース草案を作成してください。【発表企業名:〇〇株式会社】【発表内容:〇〇サービスの提供開始】【主な特徴:①〇〇 ②〇〇 ③〇〇】【担当者コメント:〇〇(広報または経営者のコメント)】出力形式:①記者が2行で判断できる書き出し(事実ベース)②本文500字前後(W1H構造)③会社概要の箇条書き3点。業界慣例に沿ったトーンで作成してください。
広報・PR文書作成

② インタビュー前の想定Q&Aを作るプロンプト

記者会見・メディアインタビュー前の準備

あなたは広報・PR戦略のアドバイザーです。以下の発表内容をもとに、記者・メディアから想定される質問10個と、広報担当者視点での回答案を作成してください。【発表内容:〇〇】【強調したいポイント:〇〇(例:差別化点・社会的意義)】【避けたいトピック:〇〇(任意)】回答は事実に基づき、メッセージが一貫するよう作成してください。難しい質問ほど優先して含めてください。
広報・PRメディア対応

③ メディア露出の論調を分析するプロンプト

プレスリリース配信後の効果確認・クリッピング分析

以下のメディア露出データを分析し、①ポジティブ・ニュートラル・ネガティブの論調分類(件数と割合)②よく取り上げられたキーワードTop5③次の広報施策へのインサイト2〜3点、を表形式でまとめてください。【露出リスト(記事タイトル・媒体名・掲載日を行単位で貼り付け):〇〇】分析は事実ベースで、次のプレスリリース改善に活かせる形で出力してください。
広報・PRメディア分析