「このデータ、外に出せますか?」議事録の要約も、設計書の分析も、契約書のリスクチェックも——やろうとするたびに、セキュリティ担当から同じ一言が来る。ChatGPTやCopilotなどのクラウドAIサービスは、入力したデータがどこかのサーバーに渡る。だから社内AI活用の話が止まったまま、という組織は少なくありません。

その壁を越える選択肢のひとつが、クローズドAIエージェントです。

「データが外に出ない」AIが選択肢になった

クラウドAIサービスを使う場合、データはインターネット経由でサービス提供会社のサーバーに送られます。クローズドAIエージェントは、企業専用に構築された閉じた環境の中でAIが動き、データは社外に出ません。AIエージェントの設計がどうあれ、データが外に出るかどうかは、機密データを扱えるかどうかを決定的に左右します。

設計図面、技術文書、契約情報、顧客情報——通常はクラウドサービスには渡せないデータも、クローズド環境なら安全に使えます。「使いたいけど使えない」が「使える」に変わる、それだけで組織のAI活用はまったく変わります。

NTTドコモビジネスとエクサウィザーズが提供するもの

2026年8月17日、NTTドコモビジネスとエクサウィザーズは専用環境で利用できる「クローズドAIエージェント」の提供を開始しました(NTTドコモビジネス公式発表)。

エクサウィザーズのAIエージェント開発・運用基盤「exaBase Studio」と、NTTドコモビジネスの閉域ネットワーク・データセンター・GPU基盤を組み合わせた構成です。プライベートクラウド版とオンプレミス版を用意し、閉域ネットワーク経由で企業専用環境を利用できます。NTTのLLM「tsuzumi 2」をはじめ、幅広いオープンソースLLMに対応します。

従来、クローズドAI環境を用意するにはサーバー調達からLLMの運用まで自前でやる必要がありました。このサービスはその部分を提供会社が担う構成で、中堅企業でも現実的な選択肢が広がりました。

Resonac Holdingsが月9万時間を削減した仕組み

自社でクローズドAI基盤を構築した事例として、Resonac Holdings(化学メーカー)があります。同社は自社開発のAIアシスタント「Chat Resonac」を全社展開し、生成AI活用率95%・月9万時間の業務削減を達成しました(Resonac公式発表)。月9万時間は金額換算で約4.7億円相当です。

研究データや設計情報など機密性の高い情報をAIで扱える環境が、この活用率を実現しました。クラウドAIでは「使えない」データを、閉じた環境で使えるようにしたことが起点です。Resonacのような大手製造業が独自基盤を構築した一方、NTTドコモビジネスのサービスは、そのインフラを外部委託できる選択肢として機能します。

社内で重要データをAIに渡すとき、最初に決めること

まず確認すべきは「どのデータをAIで扱いたいか」です。機密レベルの低いデータであればクラウドAIで十分で、全てをクローズド化する必要はありません。設計書・顧客情報・財務データなど、社外に出せない情報を扱う業務から優先的に検討する。

クローズドAIの最大のメリットは、止まっていたAI活用が動き出すことです。「データが外に出る」という懸念がなくなれば、現場からのAI活用提案も増えます。情シス担当の仕事は、現場の「使いたい」を「使える」にする環境を整えることです。

「セキュリティが理由でAIを使えない」という状況、情シス担当には本当につらい板挟みですよね。

クローズドAIは「使えない」を「使える」に変える選択肢です。データが外に出ないと分かれば、現場からの提案も増えて、AI活用の議論そのものが変わります。

まずは社内の「外に出せないデータ」を整理するところから始めてみてください。そこから選択肢が見えてきます。

コピペで使えるプロンプト集

① 社内データの機密レベルを分類するプロンプト

AI導入前のデータ棚卸し・セキュリティ分類

以下の業務データについて、AI活用における機密レベルを分類してください。

分類基準:
・クラウドAI利用可:外部サービスで処理可能なデータ
・社内クローズドAI推奨:外部に出せない重要データ
・AI利用不可:法的・契約上の制約があるデータ

業種:【製造業、金融、医療等を入力】
部門:【営業、経理、技術開発等を入力】

以下の業務データリストを上記3段階で分類し、根拠も簡潔に示してください:
【ここにデータ種類を箇条書きで入力】
情シス担当セキュリティ管理

② クローズドAI導入の費用対効果を試算するプロンプト

AI導入検討・経営説明資料の準備

クローズドAI(社内専用AI環境)の導入費用対効果を試算してください。

前提条件:
・対象部門の従業員数:【◯名】
・対象業務の1人あたり週平均時間:【◯時間/週】
・平均時給換算(人件費):【◯円/時間】
・AI導入後の想定削減率:【30〜50%等を入力】

上記を元に月間削減時間・削減コスト・年間ROIを計算し、経営向け説明資料のサマリー形式でまとめてください。
情シス担当導入検討

③ クローズドAIベンダーの選定基準を整理するプロンプト

ベンダー選定・RFP作成準備

クローズドAIエージェントのベンダー選定基準をチェックリスト形式で整理してください。

以下の観点で評価項目を作成してください:
①セキュリティ・データ管理(閉域性、暗号化、監査ログ)
②インフラ要件(オンプレ対応有無、GPU性能)
③LLM対応(利用可能なモデル、カスタマイズ可否)
④サポート体制(導入支援、運用保守、SLA)
⑤コスト構造(初期費用、月次ランニング)

当社の優先事項:【セキュリティ重視、コスト優先等を入力】
情シス担当ベンダー選定