カテゴリ:仕事・業務

提案書作成に費やしていた「探す時間」

営業担当者が提案書を作るとき、実際に文章を書いている時間よりも、情報を探している時間の方が長い、というのはよくある話です。富士通でもまさにそれが課題でした。製品情報、過去の成約事例、技術ドキュメント——必要な素材は社内に存在するのに、部門ごとに異なるシステムやフォルダに散らばっていて、必要なものを揃えるだけで数時間かかることもあったといいます。さらに、提案書の完成度が担当者の経験やスキルに左右されやすく、属人化という古くからの課題も抜け出せないままでした。

複数のAIエージェントに役割を分けた理由

富士通が選んだのは、MicrosoftのAzure AI Agent Serviceを活用したマルチエージェント構成です。一つのAIに何でもやらせるのではなく、エージェントごとに担当する役割を明確に分けました。製品データベースから関連情報を取り出すエージェント、過去の成約事例や顧客フィードバックを集めるエージェント、そしてそれらをまとめて提案書の骨格を組み立てるエージェント、という形で処理が流れていきます。この連携をコントロールしているのがSemantic Kernelで、各エージェントの呼び出し順序や情報の受け渡しを管理するオーケストレーション層として機能しています。社内の異なるシステムをAPIレベルで横断して情報収集できる点が、このアーキテクチャの肝です。

67%という数字の意味

導入後、営業提案書の作成生産性は67%向上しました。単純に作る時間が短くなっただけではありません。情報収集の網羅性が上がったことで、提案内容そのものの精度も改善しています。属人化によってばらついていた提案品質が均質化されたことは、個人の生産性向上を超えて、組織全体の営業力を引き上げることに直結しています。

大企業でも動いたという事実が持つ重み

富士通ほどの規模の組織で実際に動いたという点は、同様の課題を持つ企業にとって無視できないデータです。情報が分散している大企業ほど、エージェント間の連携で情報の壁を越えるこのアプローチは効きやすい構造にあります。営業部門での成果は出ましたが、同じ設計は経営企画や技術部門など、社内ナレッジを横断的に扱う業務であれば広く応用できます。AIを単独のツールとして導入するのではなく、役割を分担した複数のエージェントとして設計する発想が、複雑な業務課題には有効だということをこの事例は示しています。

同様の業務課題を整理したい方向けに、マルチエージェント活用の導入ステップをまとめた資料も参考にしてみてください。

ドリップドリップ(執筆)

「情報はあるのに、どこにあるかわからない」という感覚、営業職に限らず多くの方に刺さる話だと思います。

個人的に面白いと思ったのは、AIに何でもやらせるのではなく「役割を分ける」という設計思想です。これが大規模組織でも機能した、というのは実はかなり大きな発見だと思っています!

まずは自分の業務の中で「探す時間が長い作業」を一つ洗い出すところから始めると、応用のイメージがぐっと具体的になりますよ。

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