電通がAzure OpenAIを活用したAIアシスタントを導入し、広告キャンペーン提案業務の工数を3分の1に削減、投資対効果240%を達成した。

15時間かかっていた提案業務の実態

電通のプランナーたちが抱えていた問題は、シンプルに言えば「データが多すぎて使いこなせない」ことでした。過去の広告データは20年分蓄積されていても、それを1つの提案にまとめるには平均15時間を要していました。経験豊富なプランナーなら頭の中で過去の成功パターンを引き出せますが、若手にとってはそれが難しく、スキル格差がそのまま提案品質の格差につながっていたのです。クライアントからの急な依頼対応も、慢性的な課題になっていました。

Azure OpenAIで過去データを即時参照できる仕組み

電通が導入したのは、Microsoftが提供するAzure OpenAIと自社の広告キャンペーンデータベースを連携させた独自のAIアシスタントです。プランナーが「化粧品ブランドの20代女性向けキャンペーン、予算3000万円」のように自然な言葉で条件を入力すると、AIが類似の過去事例を分析し、成功確率の高いメディアミックスパターンや予算配分、クリエイティブの方向性まで具体的な推奨案として返してくれます。専門的なクエリを組む必要もなく、会話する感覚でデータ活用できる点が従来との大きな違いです。

導入6ヶ月で数字に出た成果

システム稼働から半年後、提案1件あたりの所要時間は15時間から5時間へ短縮されました。単純に作業量が減っただけでなく、AIの推奨案をベースにしたキャンペーンの成功率が従来比で約30%向上しています。人間の経験や勘では見落としがちなデータの傾向を、AIが客観的に拾い上げることで提案の精度が上がった形です。この時間削減効果を金額換算した結果が、投資対効果240%という数字に表れています。

若手育成への波及効果

数値以上に注目したいのが、チーム全体への影響です。経験の浅いプランナーでもAIアシスタントを使えば、ベテランと同等水準の分析結果を短時間で得られるようになりました。これまでは属人化していたノウハウが、システムを通じてチーム全体に開かれた形になったといえます。スキル格差の縮小は、組織全体のパフォーマンス底上げに直結します。

リアルタイムデータ連携へ向けた次の一手

現在電通は、このシステムをさらに拡張する開発を進めています。リアルタイムの市場データやSNSトレンドも取り込み、変化の速いメディア環境に対応した提案ができる仕組みを目指しています。広告業界のように扱うデータ量が膨大な領域では、AIは人間の創造性を置き換えるのではなく、アイデアを出すための土台を整える役割を担っています。電通の事例はその具体的な成功モデルのひとつといえるでしょう。

AI編集部コメント

ドリップドリップ(執筆)

「データはあるのに使えていない」という感覚、広告業界に限らず多くの現場で共通する悩みだと思います。

個人的に面白いと思ったのは、ROIや工数削減だけでなく、若手とベテランのスキル格差が縮まったという部分です。ノウハウが個人の頭の中だけにある状態は、組織としてのリスクでもあるので、そこが変わったのは数字以上に大きな変化じゃないかと!

SNSトレンドとのリアルタイム連携が実現したら、また面白い事例が出てきそうですね。続報を楽しみにしています。

FREE DOWNLOAD

実務で使えるお役立ちコンテンツを無料で見る

無料会員登録で、実務で使えるAIテンプレート・プロンプト・PDFを受け取れます。

全PDFにアクセスする(無料)

無料会員登録して受け取る