毎月の売上集計、部門別の経費比較——Excelを「なんとか使っている」感覚がある人には、数式は常に壁です。VLOOKUPが突然エラーを返したとき、ピボットテーブルの更新が効かないとき、隣の席に詳しい人がいなければ手が止まります。そういう状況が月に何度もあるなら、ChatGPT for Excelを試すタイミングが来ています。
ChatGPT for Excelが、Microsoft 365の対象プランで使えるようになりました。数式の知識がなくても、日本語で話しかけるだけでデータを分析できます。Microsoftが「Copilot」として提供している機能で、今回の解禁で使える人が大幅に増えています。
Copilotを開くのは30秒
データが入ったExcelファイルを開き、リボン上部の「ホーム」タブを確認してください。右端近くに「Copilot」ボタンが表示されています。クリックすると画面右側にチャットパネルが開きます。
ここに分析したいことを日本語で入力します。「先月と今月の売上を比較して、差が大きい商品を教えて」と入力すれば、AIがシートのデータを読み取り、計算して結果を返してくれます。グラフが欲しければ「これを棒グラフにして」と続けるだけです。数式を書く必要は一切ありません。
経理・財務担当が最初に試す3ステップ
まず「集計の確認」から始めます。「B列の売上を月ごとに合計して」のように言葉で指示すれば、AIが集計結果を出してくれます。SUM関数の構文を覚える必要はありません。「営業部の売上だけ合計して」のような条件指定にも対応しています。集計後に「これを降順に並べ替えて」と続けることもできます。
次に「比較分析」を試します。「今期と前期の差を列ごとに計算して」と頼めば、比較表を作ってくれます。「差が大きいものを赤く表示して」と続けることもできます。条件付き書式の設定方法を調べる手間がなくなり、作業の流れが途切れません。
最後に「グラフ化」です。「これを折れ線グラフで見せて」と入力すれば、Excelのシートにグラフが直接挿入されます。グラフの種類を変えたいときも「円グラフに変えて」と言い直せばすぐ反映されます。月次レポートやプレゼン資料の準備が、一段と早くなります。
MicrosoftのCopilotはExcelだけでなくWordやTeamsにも広がっており、Build 2026ではOffice全体をまたいで指示できるAgent Modeも加わりました。Excelで使い方に慣れてから他のアプリへ広げていくのが、無理のない順序です。
数字を読む時間が増える
集計にかかる時間が短くなると、「この数字は何を意味するのか」という判断に使える時間が増えます。数値の変化を読み取って次の判断につなげる——それが経理・財務の仕事の本質です。
AIに計算を任せることで、人間は解釈と判断に集中できます。「AIを使いこなす」というより、「本来の仕事に戻る」感覚に近いです。まず1つのシートで試してみてください。
コピペで使えるプロンプト集
① 売上データの月次比較レポートを作る
月次売上レポートの作成時
あなたは経営数値の分析専門家です。以下の売上データをもとに月次比較レポートを作成してください。 【対象期間:例)2026年1月〜3月】 【データ内容:商品カテゴリ別の月次売上高】 以下の順で出力してください。 ・全体サマリー(2〜3文) ・前月比・前年同月比の変化(表形式) ・増減幅が最大のカテゴリ3つと背景仮説 ・来月への注目ポイント 数字は万円単位に丸め、経営層でも読める言葉で書いてください。
② 経費データの異常値チェックを依頼する
月次経費集計後の確認作業
あなたは内部監査の専門家です。以下の経費データを精査し、確認が必要な項目を報告してください。 【対象部署:例)営業本部】 【対象月:例)2026年5月】 【データ:部門別・費目別の経費一覧】 確認ポイント: ・前月比20%以上増加した費目 ・金額上位5件の内訳明細 ・同一費目の重複申請の可能性 指摘は「費目名・金額・前月比・コメント」の形式で表にまとめてください。
③ 役員向け月次レポートのサマリーを作る
取締役会・役員会議前の資料準備
あなたは財務報告のプロです。以下の数値データをもとに、役員が5分で読める月次サマリーを作成してください。 【会社名:例)〇〇株式会社】 【報告月:例)2026年5月】 【含める指標:売上高・粗利率・営業利益・主要KPI(例:新規顧客数、継続率)】 出力形式: ①今月のハイライト(3行以内) ②数値サマリー(表形式、前月比・前年同月比あり) ③注目ポイントと背景(2項目) ④来月の重点課題(1項目) 専門用語は使わず、経営判断に直結する内容に絞ってください。
数式のエラーが消えなくて、途方に暮れたことがあります。
「何を知りたいか」を言葉にできれば、あとはAIが計算してくれる——それが今のExcelなんですよね。
まずCopilotのボタン、押してみてください。思ったより話しかけやすいです。