「この件、少し確認してもいいですか」——そんなSlackメッセージを開発チームに送りながら、お客様への返信は止まったままになる。返事が来るまで10分、30分、1時間。CSとして働いているなら、この「調査待ち」の時間は毎日どこかで発生している。

問い合わせを受けてから回答できるまでに平均1時間以上かかるチームは珍しくない。ログの場所を知らない、クエリが書けない、GitHubのissueをどう検索すればいいかわからない——自力で調べられないことが積み重なって、結局誰かに頼ることになる。

ZOZOが選んだのはSlack→Claude Codeの一本道

ZOZOテクノロジーズは、この構造をAIエージェントで解決した。Claude Codeを「動くマニュアル」として整備し、CS担当者がSlackにユーザーIDと問い合わせ内容を入力するだけで、エージェントがGitHubのissue・ログ・過去の問い合わせ履歴を横断調査し、結果と回答案をSlackに返す仕組みを構築している(ZOZO TECH BLOG、2026年6月)。

実績として、問い合わせ調査のリードタイムが平均70%削減された。開発チームへのエスカレーションが激減し、CS担当者が調査に費やしていた時間が、判断や対応に充てられるようになったと同社は報告している。

CSチームが試せる3つの出発点

同じ仕組みを再現するには、まず「週に何度も同じことを調べているか」を書き出すことから始まる。注文ステータスの確認、返金処理の経緯、エラーコードの意味——繰り返しパターンが見えてきたら、そこがAI化の出発点になる。

次に、社内のどこにその情報があるかを整理する。Notion、Confluence、Slackの過去ログ、共有ドライブ——情報の場所を一覧にするだけで、AIに「何を検索させるか」の設計ができる。ClaudeとSlackの連携はすでに実用段階に入っており、ツールの選択肢は以前よりずっと広がっている。

最後に、一番発生頻度の高い問い合わせ種別を1つ選んでClaudeやChatGPTに試してみる。完璧なシステムは後からでいい。まず1件うまくいくかどうかを確認するところから始められる。

調査が消えると、CSの役割が見えてくる

AIが調査を代行すると、CS担当者の仕事がくっきりしてくる。「この状況なら例外対応すべきか」「このお客様に何を伝えれば納得してもらえるか」——こうした判断はツールに渡せない。情報を「取りに行く」作業はAIが担い、人間は「どう動くか」を決める役割に移っていく。

これはCSチームが弱くなることではなく、単純作業から切り離されて本来の強みが発揮しやすくなる変化だ。ZOZOの事例が示しているのは、CSが要らなくなる未来ではなく、CSが本当の意味でお客様と向き合える環境が整う未来だ。調査に追われていた時間が、目の前のお客様のために使えるようになる。

ドリップドリップ(執筆)

「調査待ちのあの空白時間」、CS経験者なら誰でも身に覚えのある感覚ですよね。

ZOZOの事例が教えてくれるのは、「調査を減らすこと」が目的ではなく、CSが本来やるべき判断と対話に集中できる環境を作ること。そこに気づくと、AIの使い方が変わります。

まず自分のチームで毎週繰り返している調査を3つ書き出してみてください。そこからすべてが始まります。

コピペで使えるプロンプト集

① CS調査の自動化設計を手伝ってもらう

CS問い合わせ調査フローの自動化を検討するとき

あなたはBtoCサービスを提供する企業のDX担当者です。現状、CS担当者が問い合わせを受けるたびに注文履歴・返金記録・過去対応履歴を複数のシステムで手動検索しており、1件あたり平均【30〜60分】の調査時間がかかっています。この調査フローをAIエージェントで自動化するための設計ステップを教えてください。①優先すべき情報源の選定、②AIに渡す入力情報の最小セット、③回答品質を担保するレビューポイント、の3点を中心に整理してください。出力は箇条書きではなく、実行順の手順として記述してください。
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② 問い合わせへの回答ドラフトを素早く作る

顧客からの問い合わせに対して回答案を作成するとき

あなたは【会社名・サービス名】のカスタマーサポート担当者です。以下の問い合わせに対する回答案を作成してください。

【問い合わせ内容をここに貼り付け】

回答には、①お客様への共感を示す一言、②問題の現状説明(事実ベース・推測を含まない)、③次のアクションとタイムライン、を必ず含めてください。丁寧かつ簡潔な文体で、300字以内にまとめてください。不明な情報は「確認中」と記載し、推測で補完しないでください。
カスタマーサポート顧客対応・サポート

③ エスカレーションが必要な案件かどうかを判断する

複雑な問い合わせを受けたとき、対応レベルを素早く判断したいとき

あなたはCSマネージャーです。以下の問い合わせを確認し、上位チームへのエスカレーションが必要かどうかを判断してください。

【問い合わせ内容をここに貼り付け】

エスカレーション判断基準:①関係金額が【1万円】以上、②返金・補償が必要な可能性がある、③法的リスクや風評リスクを含む、④同様のケースが過去【3回】以上発生している。

出力形式:エスカレーション要否(要・不要)、該当する判断基準、推奨対応、優先度(高・中・低)、を簡潔に記載してください。
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