採用シーズン、エントリーシートが1日100件以上届くことがある。期限は3日。1件あたり5〜6分かけて読んでいると、それだけで8〜10時間が消える計算だ。
ChatGPTやClaudeを書類選考に使えば時間は減る。ただ、ツールを開いてすぐ「この応募書類を評価してください」と貼り付けても、返ってくるのは「積極性が感じられます」「コミュニケーション能力が高そうです」といった、使えないコメントだけになりがちだ。
AIを動かす前に、評価軸を3項目に絞る
書類選考でAIを活かすなら、最初に整えておくことがある。「何を基準に評価するか」を言語化することだ。
たとえば営業職の採用なら、「①数字への関心(定量的な表現があるか)、②主体的な行動歴(自分が動いたエピソードか)、③コミュニケーションの具体性(相手を想定した書き方か)」の3軸を先に決める。そのうえでClaudeに「この3軸に沿って、A・B・Cで評価し、理由を1行で添えてください」と渡す。
最初の20〜30件を担当者の判断と照らし合わせ、基準をチューニングする。そこまでやって初めて、AIの評価が実務で使えるレベルになる。1件あたりの確認時間が5分から1〜2分に縮まると、100件規模では大きな差になる。
トラスコ中山が人事業務を2週間から1時間に圧縮した構造
専門商社のトラスコ中山は、人事異動案の作成にAIを導入して工数を約98%削減した。担当者が2週間かけていた業務が、1時間で終わるようになった事例だ。
採用書類選考とは直接異なる業務だが、構造は同じだ。「最適化の軸(スキル・本人希望・組織バランス)」を先に整理したことで、AIが動けるようになった。書類選考も、基準の言語化が先にある。軸が曖昧なままAIに渡しても、精度の高い評価は返ってこない。
実際の使い方:3ステップで100件を1時間以内に
手順は3つだ。まず合否基準を3〜5項目に絞る。次にサンプル書類でAIと認識合わせをする。最後に残りをまとめて渡し、A・B・Cに分類してもらう。
ChatGPTのFile Upload機能を使えばPDFやWordをそのまま渡せる。Claudeは複数の書類を1つのメッセージにまとめて処理するのが得意だ。AIを人事業務に使うときの考え方を整理しておくと、社内展開のときに役立つ。
最終判断は必ず採用担当者が行う。AIはあくまで「一次仕分けの補助」で、基準を決めるのは人間の仕事だ。その順番を間違えなければ、書類選考はかなり楽になる。
コピペで使えるプロンプト集
① 書類選考の一次評価プロンプト
採用担当者が応募書類を大量に処理するとき
あなたは採用支援の専門家です。以下の採用要件と評価軸に基づき、添付した応募書類を一次評価してください。 【採用ポジション】:〇〇職(例:営業担当) 【評価軸】: ①〇〇への関心・経験(例:数字・定量表現があるか) ②主体的な行動歴(自分が動いたエピソードがあるか) ③〇〇との適合性(例:顧客対応・チーム志向か) 以下の形式で出力してください: - 総合評価:A/B/C - 軸①:評価(理由を1行) - 軸②:評価(理由を1行) - 軸③:評価(理由を1行) - 特記事項:(気になる点があれば)
② 採用評価軸の明確化プロンプト
募集要項から書類選考の基準を整理するとき
あなたは採用コンサルタントです。以下の募集要項をもとに、書類選考の評価軸を3〜5項目に整理してください。 【採用ポジション】:〇〇職(例:営業、エンジニア) 【重視すること】:〇〇(例:即戦力、長期就業、チームワーク) 【避けたいパターン】:〇〇(わかれば記入) 出力形式: 評価軸①:【軸名】(書類のどこで確認するか:〇〇) 評価軸②:〇〇 評価軸③:〇〇 各軸について「A(通過)の判断目安」を一言添えてください。
③ 一次通過者への面接質問作成プロンプト
書類通過者の面接準備をするとき
あなたは採用担当者です。以下の応募者情報をもとに、一次面接で使う質問を5つ作成してください。 【応募者の経歴・強み】:〇〇(書類から転記) 【採用ポジション】:〇〇職 【確認したいこと】:〇〇(例:志望動機の深さ、定着意欲、マネジメント経験) 出力形式: 1. オープンな質問(経験を深掘りするもの) 2. 行動質問(具体的なエピソードを引き出すもの) 3. 状況質問(入社後の場面を想定したもの) 各質問に「この質問で確認したいこと(30字以内)」を添えてください。
採用担当の方、本当にお疲れ様です。書類を1枚1枚読む作業は、思った以上に体力を使いますよね。
「評価軸を言語化する」というのが実はいちばん難しくて、いちばん大事なポイントです。それさえできれば、AIは思った以上に使えるパートナーになります。
まず3項目だけ書き出すところから始めてみてください。そこからが変わります。