xAIがGrok BuildをApache 2.0ライセンスでオープンソース公開したことで、Rustで書かれた84万行超のコードが誰でも読めるようになった。公開の経緯は、あまり良い話ではない。

Grok BuildはxAIのAIコーディングツールで、ターミナルから使えるCLI型エージェントだ。コードベースを理解してファイルを編集し、シェルコマンドを実行する。Claude CodeやGitHub Copilotと同じカテゴリで、今年5月にベータ公開されたばかりの製品だった。

問題が発覚したのは先月のことだ。セキュリティ研究者がGrok Buildの通信を解析したところ、開発者のGitリポジトリ全体がxAIのクラウドストレージへ送信されていることが分かった。コーディング作業に必要なファイルだけでなく、コミット履歴、APIキー、SSH鍵、データベースパスワードまで含んだ5GB超のデータが転送されていた。実際のコーディングタスクに必要なデータ量の約2万8000倍にあたる量だという。「モデル改善への協力」をオフにしても、プライバシー設定を変更しても、送信は止まらなかった。止まったのは、xAIがサーバー側で一括無効化した7月12日だ。

アプリ内の設定ボタンが動いていなかった理由

アップロード機能はサーバー側のフラグで制御されていた。アプリ内の設定は見た目上の操作にすぎず、実際に送信するかどうかの決定権はxAIが持っていた。つまりユーザーには「止める手段がなかった」ことになる。

今回のオープンソース化は、その制御コードを含めて全公開したことを意味する。コードを読めば、どのタイミングで何を送信しているかを自分で確認できる。Apache 2.0ライセンスなので商用利用も可能で、ローカルで動かすこともできる。Elon Muskは「アップロードされたデータはすべて完全削除する」と表明した。ただし送信コードはまだ存在しており、現在はサーバー側で無効化されているだけだ。

AIコーディングツール選定に「透明性」が加わる

VSCode拡張やターミナルエージェントなど、自律的に動くAIコーディングツールが急増している。エンジニアのマシンにはソースコードや認証情報など機密情報が集まりやすい。どのツールが何を送っているかは、クローズドソースでは確認できない。Grok Buildの件は、その現実を具体的な数字で示した事例として残る。「オープンソースかどうか」は、今後のツール選定において重要な基準の一つになっていく。

ドリップドリップ(執筆)

便利なツールが実は社内コードをこっそり送っていた、という話は他人事ではないと思いました。

ただ、騒動の結果として84万行ものコードが公開されたのは、透明性という意味では前向きな一歩です。

AIツールを使い始める前に「このツールのコードは公開されているか」を確認する習慣、ぜひ身につけてみてください。

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