月末が近づくと、Excelの予算実績表を開いて差異を探し始める。前月比、前年比、予算比——列を行き来しながら、数字の根拠を確認し、コメントを書く。気づけば2時間が消えている。

これはFP&Aあるあるだが、「探す」と「初稿を書く」の作業はAIに渡せる。

予算実績の突合、Copilotに渡すと何が変わるか

まずやるべきは、データをCopilotに投げてしまうことだ。

予算対実績のデータ(CSVやExcelのコピー)をCopilotのチャットに貼り付けて、「差異が大きい項目を上位5つ抽出し、それぞれの差異率と考えられる要因を教えてください」と聞く。最初から完璧な答えは返ってこないが、修正ベースにできるコメント案が10秒で出てくる。ゼロから書くより圧倒的に速い。

製造業のナベル株式会社は、年間2万件の受注データ突合チェックをAIで自動化し、3名体制から1名体制へ移行した(工数67%削減)。予算実績比較も本質は同じ——大量データの照合と差異の整理だ。経理・財務部門のAI活用が進む中、FP&Aの差異分析も手をつけやすい領域の一つだ。

シナリオ計画、3パターンの叩き台を30分で出す

シナリオ計画で時間を取られるのは、仮定条件の整理と試算の繰り返しだ。

Copilotにはこう聞く。「前提条件は以下の通りです:【売上成長率:ベース5%、強気8%、弱気2%】【固定費:前年比+3%】【変動費率:前年比±0%】。この3シナリオで営業利益がどう変わるか、表形式で整理してください」。

数値は自分で入れる。計算の整理と表のフォーマットはAIがやる。追加で「このシナリオ計画で見落としているリスク要因を3つ挙げてください」と聞けば、為替変動や原材料費の高騰、競合動向など、検討漏れの視点が補完される。ゼロから洗い出すより、抜けが減る。

月中の着地予測、会議の前に5分で試算する

月が始まって2週間が経ったタイミングで、「このまま行ったら月末はどうなるか」を確認したいことがある。

直近2週間の実績データをCopilotに貼り付けて、「このペースで推移した場合の月末着地値を試算し、上振れ・下振れリスクも一言添えてください」と聞く。試算値と経営コメントの初稿がそのまま出てくる。

会議の前に5分でできる。これを毎月繰り返すと、月次レポーティングにかけていた時間の感覚が変わってくる。

FP&Aの仕事が「作業」から「判断」に変わる

AIが変えるのは作業時間だけではない。何に集中できるかが変わる。

差異の「抽出」ではなく「解釈」に。シナリオの「計算」ではなく「判断」に。レポートの「作成」ではなく「経営への提案」に。

CopilotはExcel・Word・PowerPointの中で使えるから、ツールを新たに覚える必要はない。月次サイクルのどの工程に組み込むか、まず一か所から試してみるのが早い。

ドリップドリップ(執筆)

月末の予算実績レポートに追われる感覚、FP&Aの方なら誰でも経験していると思います。

「探す」と「初稿を書く」をAIに任せると、残りの時間が自然と「解釈」と「提案」に変わっていくのが、使ってみると実感できると思います。

まず着地予測か差異分析、どちらか一つから試してみてください。月次の働き方が変わるきっかけになります。

コピペで使えるプロンプト集

① 予算実績の差異分析コメントを作成する

月次決算後、予算実績の差異分析コメントを書くとき

あなたは経験豊富な財務アナリストです。以下の予算実績データをもとに、差異分析コメントを作成してください。

【対象期間】【例:2026年6月】
【データ】(ここに予算・実績の数値を貼り付けてください)

出力形式:
1. 差異が大きい項目ベスト5(差異額・差異率付き)
2. 各項目の差異要因(1〜2行ずつ)
3. 経営会議向けサマリーコメント(100文字以内)

分析の視点:前月比・前年比・季節性を考慮し、一時的要因と構造的要因を区別してください。
経理・財務レポート・報告

② 3シナリオの財務計画を表にまとめる

四半期・年次予算のシナリオ計画を作成するとき

以下の前提条件で、強気・ベース・弱気の3シナリオ財務計画を作成してください。

【事業名】【例:国内EC事業】
【基準値】売上:【X】億円、変動費率:【X%】、固定費:【X】億円
【シナリオ前提】
・強気:売上+【X%】、コスト据置
・ベース:売上+【X%】、コスト+【X%】
・弱気:売上▲【X%】、コスト+【X%】

出力形式:3シナリオの売上・変動費・固定費・営業利益・営業利益率の比較表。加えて、このシナリオ計画で検討すべきリスク要因を3点挙げてください。
経理・財務企画・立案

③ 月中の実績から月末着地を試算する

月の途中で月末着地予測とリスクを経営に報告するとき

以下の実績データをもとに、月末の着地予測を試算してください。

【対象月】【例:2026年7月】
【経過日数】【例:15日/31日中】
【直近実績】(日次または週次データを貼り付けてください)
【当初月次予算】売上:【X】円、費用:【X】円

依頼内容:
1. 現在のペースが続いた場合の月末着地値(売上・費用・利益)
2. 上振れ・下振れシナリオのリスク要因を各2点
3. 経営報告用コメント(1〜2行)

根拠となる計算プロセスも明記してください。
経理・財務調査・分析