応募者が50名を超えたとき、採用担当者の一日が書類を読むだけで終わる。1件10分としても50件で8時間超。その後に面接日程の調整があり、面接官への情報共有もある。
ChatGPTを使うと、この流れが変わる。スクリーニングの時間を3分の1に縮め、面接準備のリードタイムを半分にできる。何より、採用担当者が「この人と話してみたい」を考える時間が生まれる。
スクリーニング基準をChatGPTに渡す
やり方はシンプルだ。ChatGPTに採用要件と応募書類の内容を貼り付け、評価の観点を伝える。
指示の例はこうなる。「以下の採用要件と応募書類を読んで、(1)必須スキルの充足度、(2)業務経験との合致度、(3)懸念点を箇条書きで評価してください。最後にA(即面接)・B(再検討)・C(見送り)に分類してください。」
精度を上げるには採用要件を具体的に書くことが重要だ。「コミュニケーション力がある人」ではなく「SaaS導入支援の営業経験3年以上で、エンタープライズ商談のクロージング実績がある人」のように書くほど、ChatGPTの評価が実態に近くなる。書類選考の準備段階でやっておくべきことは、採用書類100件をChatGPTに仕分けてもらうまでにやることで詳しくまとめている。
日本企業が示す、AI要約の実力
AI活用による書類処理の効率化は、採用部門に限った話ではない。JR西日本カスタマーリレーションは、コールセンターのアフターコール業務(応対記録の要約・入力)に生成AI要約支援ツールを導入し、業務要約時間を34%削減、最大54%の効率化を達成している。
記録・要約・分類——この作業は、文書の内容を読んで整理するという点で書類選考と構造が同じだ。AIが担うのは「読む・整理する・分類する」であり、最終判断は人間が行う。採用業務にも同じ分担が成り立つ。
面接準備の時間を半分にする方法
書類選考を通過した応募者の面接準備も、ChatGPTで大きく変わる。
職務経歴書をChatGPTに貼り付け、「この経歴を踏まえて、面接で確認すべき質問を5〜7件生成してください。職歴に空白や転職回数が多い場合はその理由を確認する質問も含めてください」と指示する。ゼロから質問を考えていた時間はほぼ不要になり、出てきた質問を確認・修正するだけでよくなる。
面接官が複数のポジションを担当している場合は、「このポジションで最も重視すべき評価軸3つと、それぞれの確認方法を教えてください」と聞くと、面接官間の評価基準の統一にも使える。30分かかっていた面接準備が、10〜15分に縮む。
採用の質を落とさずにスピードを上げる
ChatGPTを採用業務に組み込むと、担当者の仕事の中身が変わる。書類を読む時間から、「この候補者にどんな可能性があるか」を考える時間に移行できる。
AIが読む・整理する・分類する部分を担い、人間が判断する・対話する・見極める部分に専念する。この分担が、採用の質を落とさずにスピードを上げる近道だ。
コピペで使えるプロンプト集
① 書類選考のA/B/C分類プロンプト
応募書類のスクリーニング
あなたは採用担当のアシスタントです。以下の採用要件と応募書類を読み、下記の観点で評価してください。 【採用要件】 (ここに職種・必須スキル・歓迎スキル・経験年数を記入) 【応募書類の内容】 (ここに履歴書・職務経歴書の内容をそのまま貼り付ける) 評価観点: 1. 必須スキルの充足度(〇・△・✕で評価) 2. 業務経験との合致度(具体的な根拠も記載) 3. 懸念点(職歴の空白・転職回数・スキルギャップ等) 最後に A(即面接)・B(再検討)・C(見送り)に分類し、その理由を1〜2文で述べてください。
② 面接質問生成プロンプト
面接前の質問リスト作成
あなたは【職種名:例)営業マネージャー】の採用面接官のアシスタントです。以下の職務経歴書を読み、面接で確認すべき質問を5〜7件生成してください。 【職務経歴書の内容】 (ここに貼り付ける) 質問作成の条件: - この職種で特に重要なスキル・経験を深掘りする質問を優先する - 職歴に空白期間や短期離職がある場合は、その背景を確認する質問を含める - 「はい・いいえ」で終わる質問は避け、具体的なエピソードを引き出す形にする 各質問に「確認したいポイント」も1行で添えてください。
③ 面接評価軸の整理プロンプト
複数ポジションの面接基準統一
以下のポジションの採用面接において、最も重視すべき評価軸を3つ定義してください。 【ポジション情報】 職種:【例)カスタマーサクセスマネージャー】 事業フェーズ:【例)PMF後、年商10億規模のSaaS企業】 主な業務:【例)導入支援・チャーン防止・アップセル推進】 各評価軸について: 1. 評価軸の名称 2. この軸が重要な理由(ポジション・事業に紐づけて) 3. 面接で確認する方法(質問例・見るポイント) さらに、複数の面接官が一貫した基準で評価できるよう、各軸の「合格ライン」と「不合格ライン」の目安も教えてください。
「書類を読む仕事」で一日が終わってしまう感覚、採用担当の方なら絶対わかると思います。
ChatGPTを間に挟むだけで、自分がやらなくていい作業がこんなにあったのかと気づく。そこからが、本当の採用の仕事の始まりです。
まず1件、試してみてください。使う前と後で、体感がまったく違うはずです。