Copilotにプレスリリースを書かせたら、使えない文章が出てきた——そういう経験をして「AIは広報には向かない」と結論づけた人は多い。ただ、失敗のパターンはほぼ同じだ。Copilotに渡しているのが「事実の羅列」だけで、「何のために書くか」が抜けている。

Microsoft 365 CopilotはWordで文章を生成するとき、指示の解像度がそのまま出力の質に直結する。「新サービスのプレスリリースを書いて」と渡しても、それは素材と意図が揃っていない。速くならないのは、AIの問題ではなく入力の問題だ。

プレスリリースは「事実+1行の目的」で渡す

Wordの Copilotに渡すとき、箇条書きの事実に加えて「誰に・何を感じてほしいか」を1行で添えると、同じ素材から生まれる文章のトーンと構成が変わる。「コスト削減よりもスピード感を訴求したい、ターゲットは中小企業のIT担当者」という1文を入れるだけで、書き出しから違ってくる。最初の下書きは5分で出る。その後の修正に集中する方が、ゼロから書くよりずっと速い。

プレスリリースを量産する状況では、このアプローチで1本あたりの作業時間が45分から15分程度まで縮まる。

メディア問い合わせは「枠」を一度作れば使い回せる

メディアや記者からの問い合わせへの返信を毎回ゼロから書いていると、対応が積み上がるほど消耗する。OutlookのCopilotに「このQ&Aを元に、業績・新機能・コメント取得依頼への返信テンプレートを5パターン作って」と渡すと、汎用の枠が揃う。次からはその枠に事実を差し込むだけだ。

日本のITサービス企業・日本ビジネスシステムズ(JBS)がMicrosoft 365 CopilotとDynamics 365を組み合わせたところ、外部からの問い合わせを処理するエスカレーション対応のリーダー工数が38%削減された(Microsoftの事例ページ)。外部からの連絡を受けて担当が動くという構造は広報対応と本質的に同じで、この削減幅は参考になる数字だ。

SNS投稿は「1つのコアメッセージ→3プラットフォーム分」を一気に出す

同じ発表でもX(旧Twitter)、LinkedIn、NewsPicksでは適切な長さとトーンが違う。CopilotのTeamsチャットや Wordで「このプレスリリースの要旨をもとに、X用140字・LinkedIn用300字・メディア向けコメント用100字の3パターンを書いて」と指示すると、一度で3種類が出る。微調整すれば個別に書くより60〜70%の時間を節約できる。

プレスリリースの型作りについては、広報の下書き作業で時間を溶かさないためのAI型も参考になる。NotionやGoogleドキュメントと組み合わせた管理方法も紹介されているので、ツール選定の参考にしてほしい。

Copilotで広報が速くならない人の多くは、渡す情報の粒度と目的の明示が足りない。事実だけでなく「誰に・何を・なぜ」を揃えてから渡す習慣ができると、下書きより仕上げと判断に時間を使えるようになる。

広報の仕事って、地味に「毎回ゼロから書く」が積み重なって消耗するんですよね。

AIに素材を渡すだけじゃなく、「誰に・何を感じてほしいか」を一行添えるだけでガラッと変わる——このひと手間がCopilot活用のキモだと思います。

まずプレスリリース1本だけ、この方法で試してみてください。

コピペで使えるプロンプト集

① プレスリリース下書き生成プロンプト

新サービス・新機能・イベントなどの発表時に、プレスリリースの初稿をCopilotで作成する

あなたは企業の広報担当者です。以下の情報をもとに、メディア向けプレスリリースの下書きを作成してください。

【会社名】:【○○株式会社】
【発表内容】:【新サービス名・機能・施策の概要を1〜3文で】
【ターゲット読者】:【業界メディア記者・IT系メディア等】
【訴求ポイント(1行)】:【例:コスト削減よりもスピード感、中小企業のIT担当者に響く表現で】
【補足事実・数値】:【あれば記入、なくてもOK】

出力形式:タイトル(30字以内)/リード文(150字以内)/本文(概要・背景・詳細・担当者コメントの4パート)/問い合わせ先の雛形。まず構成案を出してから全文を作成してください。
広報文書作成

② メディア問い合わせ対応テンプレート作成プロンプト

記者・メディアからの定型的な問い合わせに対し、返信テンプレートを事前に用意する

あなたは企業の広報担当です。メディアや記者からよく来る問い合わせへの返信テンプレートを作成してください。

【会社名・事業概要】:【○○株式会社。○○業界向けにSaaSを提供】
【よく来る問い合わせ種類】:①業績・財務関連、②新サービスの詳細、③CEOコメント取得依頼
【回答時のトーン】:丁寧かつ簡潔。答えられない項目は「回答を差し控えます」と明示する

各タイプについて5パターンのテンプレートを作成してください。各テンプレートには件名・書き出し・本文(○○の箇所に差し込める形式)・締めを含めること。Outlook/Wordにコピーしてすぐ使える形式で出力してください。
広報メール対応

③ SNS複数プラットフォーム投稿文一括生成プロンプト

プレスリリースや新着情報を複数のSNSに合わせた形式で一括作成する

あなたは企業のSNS担当広報です。1つの発表から複数プラットフォーム向けの投稿文を一括作成してください。

【発表の要旨】:【プレスリリースの主要メッセージや概要を貼り付ける】
【発表日】:【○月○日】
【会社名・公式アカウント名】:【○○株式会社 / @example】

以下のプラットフォーム向けに各1〜2パターン作成してください:
1. X(旧Twitter):140字以内、ハッシュタグ2〜3個付き
2. LinkedIn:300字程度、ビジネス向けトーン
3. Facebook:200字程度、やや親しみやすいトーン
4. メディア向けコメント文:100字以内

各パターンに【使用場面】(発表直後用・翌日リマインド用など)を添えること。
広報SNS運用