法律確認の依頼が今日も3件届いています。でも昨日から積んでいる契約書のチェックが終わっていない。来週の取締役会に向けた就業規則の改定案も必要で。そういった状況が法務チームの日常です。仕事量の問題ではなく、仕事の構造が変わっていないことが原因です。

銀行業務で同じことが起きていました。宮崎銀行では、融資稟議書1件の作成に約40分かかっていた。審査に必要な情報を収集し、書式に当てはめ、確認するプロセスが手作業で積み重なっていたのです。

宮崎銀行が40分→3分を実現した仕組み

日本IBMと共同で開発した稟議書自動作成AIは、Azure OpenAI Serviceを使い、営業支援システムのデータとAIを連携させました。担当者が入力した基本情報をもとに稟議書の下書きが2〜3分で出来上がり、担当者は確認と修正だけに集中できる。削減率は95%です。2024年12月に全店展開が完了しています。

法務書類にも同じ構造があります。必要な情報が決まっていて、過去の規程や事例に照らして確認する作業がある。この「構造が決まっている書類作業」は、AIとの相性が特に高い領域です。

契約審査をAIとの分業で変える

契約書の全条項を毎回精読するのは時間がかかります。先にAIに「損害賠償の範囲、解除条件、知的財産の帰属について、注意すべき条項を指摘してください」と依頼して一次スクリーニングをさせる。ClaudeやCopilotは契約書テキストを貼り付けるだけで動きます。

AIの役割は法律判断ではなく、「見るべき場所の指摘」です。出力をチェックリストとして使い、担当者が最終確認する流れにすることで、審査のスピードが大きく変わります。Copilotの業務活用が中小企業にも広がる中、契約書の一次確認でもこの運用が選ばれています。

Notion AIで相談を即答、規程改定も半自動化する

「副業を認める場合の就業規則上の扱いは?」「秘密保持契約の適用範囲は?」こういった社内からの法律相談の多くは、既にある規程や過去の対応事例で答えられます。自社の就業規則や取引基本契約書をAIに読み込ませておけば、「この件に関連する規程を教えてください」という問いに即座に対応できます。Notion AIはナレッジベースとの連携が得意なので、社内Wikiを活用した相談対応の仕組みを作りやすい。

規程改定では、現行文書と改正のポイントをAIに渡して「変更すべき箇所の案を出してください」と依頼する方法が実用的です。全部AIに書かせるのではなく、変更案のリストを先に用意させて担当者が判断する。宮崎銀行が証明したのも「AIが初稿を担い、人が確認する」という分業の有効性でした。

契約書の積み重なりを解消するには、まず一次スクリーニングだけAIに任せることから始めてみてください。それだけで、法的判断に集中できる時間が生まれます。

ドリップドリップ(執筆)

法務担当って、何でも知ってると思われがちですよね。実際は毎回調べながら答えてることも多い。

AIが「どこを見るべきか」を先に指摘してくれると、確認のスピードが全然違います。宮崎銀行の稟議書事例、法務書類にもそのまま応用できます。

まず1件の契約書をAIに貼り付けるところから始めてみてください。

コピペで使えるプロンプト集

① 契約書の注意条項を洗い出す

契約書の初回チェック時

あなたは企業の法務担当者のアシスタントです。
以下の契約書を読み、リスクの観点から注意すべき条項をすべて洗い出してください。

【チェック観点】
・損害賠償の範囲(上限額の設定・免責条項の有無)
・契約解除条件(一方的解除ができるか)
・知的財産権の帰属(成果物の権利は自社か相手方か)
・機密情報の取り扱い(開示範囲・有効期間)
・準拠法・管轄裁判所

【契約書テキスト】
【ここに契約書全文を貼り付ける】

各観点について「条項の場所」「リスクの内容」「確認推奨事項」の3点で整理してください。法律的な最終判断は行わず、確認が必要なポイントの洗い出しのみ行ってください。
法務・コンプライアンスリスク・危機管理

② 社内の法律相談に規程を引いて即答する

社内からの法的質問が届いたとき

あなたは法務担当者のアシスタントです。
以下の就業規則・社内規程を参照しながら、社員からの質問に回答してください。

【参照ドキュメント】
【就業規則または社内規程のテキストをここに貼り付ける】

【社員からの質問】
【質問内容:例「副業を始めたい場合、どのような手続きが必要ですか?」】

回答の形式:
1. 該当する規程の条文番号と内容
2. 実務上の対応手順(箇条書き3点以内)
3. 判断が難しい場合は「法務担当者への確認を推奨」と明示すること

回答は社員向けにわかりやすく、150文字以内でまとめてください。
法務・コンプライアンス情報収集・整理

③ 法改正に合わせた就業規則の改定案を作る

法改正・社内制度変更に伴う規程改定時

あなたは法務・人事担当者のアシスタントです。
法改正・社内制度変更の内容をもとに、既存の規程の改定案を作成してください。

【現行規程】
【改定対象の条文テキストをここに貼り付ける】

【改定理由と変更内容の概要】
【例:育児・介護休業法改正に対応。短時間勤務の対象期間を子が3歳になるまでから小学校就学前まで拡大する】

出力形式:
・変更が必要な条文番号と現行文
・改定後の案文
・改定理由の一文説明

法令の最終解釈は担当者が行うことを前提に、変更案の草稿のみ作成してください。
法務・コンプライアンス資料・ドキュメント作成