OpenAIのChatGPT Healthが2026年9月1日、全米最大の電子カルテシステムEpicとの統合を発表した。全米で325万人以上の患者データを管理するEpicと連携し、医師が患者の記録全体をChatGPTに直接問い合わせられるようになった。
診察前の情報整理が、AIとの対話に変わる
外来診察の前、医師は電子カルテを開いて前回の来院メモを確認し、検査値の推移を追い、処方の変更履歴を見直す。患者一人あたり15〜20分かかることも珍しくない。それが、一問一答で変わろうとしている。
ChatGPTにEpicのアクセス権を付与すると、「前回の受診から何が変わったか」「最新の血液検査値は」「薬の変更はあったか」を自然言語で尋ねるだけで、受診ノート・検査結果・処方薬・専門科の記録を横断した回答が秒単位で返ってくる。外来前の下調べが、AIとの短い対話に置き換わる。
カルテの参照だけでなく、OpenAIはヘルスケア公開データプラグインも追加した。ClinicalTrials.gov(臨床試験情報)、RxNorm・DailyMed(医薬品データ)、PubMed(医学論文)を横断検索できる。「この治療選択肢は適切か」「試験中の候補はないか」をその場で確認できる環境が整いつつある。
書き込みはできない。その設計の意味
アクセスは読み取り専用に限定されている。AIがカルテに記録を書いたり処方を登録したりすることはなく、オーダー操作も行えない。外に出せないデータをAIで扱う際の基本的な安全設計と、この方向性は一致している。
OpenAIは4,300件以上の医師の回答を27の臨床ユースケースで評価し、99.1%が安全と判定された結果を公式ページで公表している。パイロット機関のUCSF Healthでは、診察ワークフローの中にChatGPTを直接組み込んだ形での運用が始まっている。患者と向き合いながら、必要な情報をリアルタイムで引き出せる体制だ。
医師一人あたりの診察コストが変わる
今すぐ日本の病院で同じことができるわけではない。ただ、医師がAIを通じて患者記録を会話形式で探索するというモデルは、今後の電子カルテ各社が向かう方向と重なる。日本でも電子カルテのAI統合は議論が進んでおり、先行する米国の事例が参照点になる。
診察の質を落とさずに一人あたりの準備時間を短縮できるなら、慢性的な医師不足が続く医療現場にとって現実的な支援になりうる。技術の完成度よりも「どこから導入するか」の問いが、次の焦点になっていく。
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「カルテを全部読んでから診察する」って、特に外来が多い日はしんどいですよね。
ChatGPTが「前回から何が変わったか」をまとめてくれるなら、医師がもっと患者の話に集中できる時間が増える。それは患者にとってもうれしいことかもしれません。
医療AIというと難しそうに聞こえますが、やってることは「賢い助手がカルテを読んでおいてくれる」に近い。そういう入口から現場が変わっていくと思います。