3社から届いた見積書を開き、品番・単価・納期をExcelに転記する。それだけで30分が消える。週に2〜3回あれば、月に10時間以上が「ただの入力作業」に費やされる。発注書の作成まで含めると、さらに膨らむ。調達担当が転記の繰り返しに追われるあいだ、本来やるべきサプライヤーとの交渉や品質評価は後回しになっていく。
見積書はAIに読ませるものになった
ChatGPTやClaudeに見積書のテキストを渡すと、品番・数量・単価・納期を自動で読み取り、比較表を作ってくれる。3社分を同時に渡して「最安値と最短納期の業者を選んで、理由も添えて」と指示すれば、選定の根拠つきで回答が返ってくる。30分かかっていた照合作業が、3〜5分で終わる。
発注書の作成も同じ要領だ。比較表と過去の発注書フォーマットをClaudeに渡し、「このフォーマットに合わせて発注書のドラフトを作って」と伝えると、入力済みのドラフトが出てくる。あとは数字を確認してサインするだけの状態まで持っていける。
三井化学のAIエージェントが示した可能性
三井化学は、研究員が行っていた技術文献の調査をAIエージェントに任せることで、調査時間を80%以上削減した。1ヶ月かかっていた文献整理が1日程度になったという。「専門的な文書を読み、必要な情報を抽出して整理する」という作業の構造は、調達担当が毎日やっている見積書処理とまったく同じだ。三井化学の製造・化学業界での取り組みが、調達部門でも成立する理由はそこにある。
PerplexityでサプライヤーをAI検索する
Perplexityは、サプライヤー情報や市場価格の調査に向いている。「〇〇部品の国内調達先を5社、それぞれの概要と公式サイトを教えて」と入力すると、Webを横断した情報をすぐにまとめてくれる。価格トレンドや代替材料の探索にも使える。見積書が届く前の「調べる段階」から、AIで時間を削ることができる。
実際にやってみる3ステップ
まず、手元にある見積書1枚をChatGPTかClaudeに渡して「品番・数量・単価・納期を表にして」と指示してみる。精度を確認したら、次は3社分に広げて比較表を作る。最後に、過去の発注書ファイルも渡して「この形式でドラフトを作って」と指示する。この3ステップを一巡するだけで、自分の業務に使えるかどうかはっきりわかる。
ERPシステムにもAIエージェントが組み込まれ始めており、経理・調達・SCM全体の自律化が進んでいる。調達担当が今からAIの使い方に慣れておくことで、こうしたシステム移行もスムーズになる。
照合・比較・ドラフト作成という繰り返しの多い作業は、AIが最も得意とすることだ。調達担当の仕事が、転記や入力ではなく「判断する仕事」に変わっていく。
コピペで使えるプロンプト集
① 3社見積書の比較表を自動生成するプロンプト
複数社から届いた見積書を一括比較する
以下は【会社A】【会社B】【会社C】から届いた3社分の見積書テキストです。各社の品番・数量・単価・納期・備考を比較表にまとめてください。その後、最安値の業者と最短納期の業者をそれぞれ1社ずつ選び、選んだ理由を2〜3文で添えてください。 --- 【会社Aの見積書テキストをここに貼り付け】 --- 【会社Bの見積書テキストをここに貼り付け】 --- 【会社Cの見積書テキストをここに貼り付け】
② 過去フォーマットを参照して発注書ドラフトを作るプロンプト
選定したサプライヤーへの発注書を自動生成する
以下の条件をもとに発注書のドラフトを作成してください。 発注先:【会社名】 発注品目:【品番・品名】 数量:【数量と単位】 単価:【単価】 希望納期:【納期日】 支払条件:【例:月末締め翌月末払い】 参考フォーマット: 【過去の発注書テキストをここに貼り付け】 ドラフト完成後、入力漏れがないか確認し、不明な項目があれば一覧で教えてください。
③ 国内サプライヤーをAIで一括調査するプロンプト
新規仕入れ先の候補を素早くリストアップする
調達担当として【部品・材料名】の国内サプライヤーを探しています。以下の条件を満たす企業を5社程度リストアップしてください。 条件: ・国内に製造拠点または在庫があること ・最低発注数量が【〇〇個】以下であること ・【業界・用途、例:食品製造向け、電子機器向けなど】向けに実績があること 各社について、企業名・公式サイトURL・取り扱い品目の概要・問い合わせ先(あれば)を教えてください。
見積書の転記って、やればやるほど虚しくなる作業ですよね。
三井化学の事例で「文書を読ませる」という発想が調達業務にもそのまま使えるとわかったのは、大きな気づきでした。専門性の高い文書処理こそ、AIエージェントが得意なことなんですよね。
まず1枚の見積書で試してみるだけで感覚がつかめます。難しく考えずに始めてみてください。