Oracle Fusion CloudのERP・SCMにAIエージェント群が直接組み込まれ、請求書処理から調達交渉、在庫計画まで、企業の基幹業務をAIが自律的に処理できる環境が整い始めました。外部ツールとの連携ではなく、ERPそのものに判断力を持たせる設計です。
12のFusion Agentic Applicationsが経理とSCMに入ってきた
2026年4月9日、Oracleは「Fusion Agentic Applications」として経理・サプライチェーン向けに12本のアプリをOracle Fusion Cloud ERP・SCMに追加しました。単なるAIアシスタント機能ではなく、複数の専門エージェントが連携して業務プロセス全体を処理する「アジェンティック」な設計です。
経理側では、売掛金回収を担う「Collectors Workspace」、請求精算を自動化する「Claims Settlement Workspace」などが稼働します。従来は担当者がメールと複数のツールを行き来しながら処理していた例外対応や督促作業が、AIが整理した一つのワークスペース上で完結する形になります。
調達交渉と在庫管理にもエージェントが入り込む
調達領域では「Sourcing Command Center」が、交渉状況の把握から優先度の高い例外処理まで一元化します。複数の受信トレイを行き来していた調達担当者のフローが、AIが優先度を判定したキューに切り替わります。
同年6月には倉庫・製造向けにさらに4本が追加されました。Inventory Planning Command Center(在庫計画)、Supplier Qualification Workspace(サプライヤー評価)、Production Readiness Workspace(製造準備確認)、Kanban Administrative Workspace(カンバン管理)の4つです。倉庫や製造現場で起きる異常をAIが検知し、対処の優先度を自動で示す仕組みです。
承認ルールの中で動き、ERPの使い方が変わる理由
これらのエージェントはOracle Fusion Cloudの既存のセキュリティ設定・承認フローの中で動作します。金額が閾値を超える取引や複雑な判断は人間にエスカレーションされる設計で、AIが独断で大きな意思決定を下すわけではありません。
ERPへのAIエージェント直接統合という動きは、MicrosoftのDynamics 365でのAIエージェント統合とも重なる、企業向けソフトウェア全体のトレンドです。外部AIツールとAPIで繋ぐ方式と違い、ERPそのものにエージェントが組み込まれることで、データ連携の手間やセキュリティ上の懸念が大きく減ります。
さらに、Oracle AI Agent Studioを使えば自社業務に合わせたエージェントを独自に構築することも可能です。Oracle Fusion Cloudを活用している組織は、Oracleの公式アナウンスページで実装済みの機能と対応モジュールを確認しておく価値があります。
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ERPって聞くと「難しそう」「IT部門の話」ってなりがちですよね。
でも今回の発表を読むと、AIが一番地味で手間のかかる業務を引き受けてくれる未来が、かなり具体的に見えてきます。特に経理の締め処理や調達の例外対応は、ずっと「人がやるしかない」と思われていたところです。
基幹業務の「当たり前」がまた変わりはじめています。