先週の商談3件が、CRMのなかで止まっている。打ち合わせ後のメモを書いたところで力が尽きて、フォローメールは「あとで」になったままだ。何日か経つと、どんな話をしたか記憶があやふやになり、ますます動けなくなる。
これは段取りや意識の問題ではない。フォローが落ちやすい構造になっているだけだ。
HubSpotがSpring 2026で公開したSmart Deal Progressionは、この構造ごと変えようとしている。商談や電話が終わると自動でその会話を分析し、CRMフィールドの更新候補とフォローメールの下書きを提案する。過去のメール、商談履歴、前回のやり取りまで引き合わせた上で提案するため、「何を、いつ、どう送るか」が具体的に出てくる。
止まりかけた商談を、AIが先に拾い上げる
各商談レコードにはCatch Upタブが追加され、AIが提案する次のアクションが最大5件並んでいる。動きが鈍い案件はStalled Dealsビューに自動でまとまるため、「どれが止まっているか」を手動で探す手間がなくなった。
GmailのHubSpot拡張機能と連携しておくと、受信トレイから直接、商談履歴に基づいた返信下書きが生成される。メールとCRMを行き来する必要がなくなる。止まった案件を探すのに30分かかっていた作業が、Stalled Dealsを開くだけで終わる。
データを整えると、エージェントの精度が上がる
Agent Hubの提案精度は、CRMデータの質に直結する。商談レコードの基本フィールド(担当者・ステージ・最終接触日)が空白の状態では、適切な提案は出てこない。まずこの3点を埋めておくことが、使い始める前の最低条件だ。
人材派遣会社のヒューマンリソシアは、AIエージェント「つなぎAI」(Dify基盤)で月4,000件の求人広告文作成を自動化し、年間4,800時間の削減を達成した(2026年1月発表)。大量処理でも精度が保てたのは、扱うデータが整理されていたからだ。AIエージェントの活用は業種を問わず、データの整備が先に来る。
データが揃ったら、Agent BuilderでProspecting Agentを有効化し、フォロー対象の条件(商談ステージ・最終接触からの経過日数)を設定する。あとはエージェントが対象を選定し、次のアクションを提案し続ける。
フォローを忘れないより、忘れにくい仕組みをつくる
使い始めると、「止まっている案件を探す」という作業がなくなる。Stalled Dealsに浮かんでくるし、Catch Upタブに次の手が書いてある。フォロー漏れが起きにくい構造になるため、毎日CRMを確認しなくても案件が前に進む。
商談後のCRM入力の壁が先にある場合は、そちらを先に解決してからAgent Hubに移行するとスムーズだ。入力精度が上がるほど、エージェントの提案が的確になる。
フォローに使っていた時間が、顧客との議論の質を上げることに使えるようになる。商談は止まるのではなく、次に進む。
コピペで使えるプロンプト集
① 商談後フォローメールの下書き
打ち合わせ直後にフォローメールを素早く作りたいとき
あなたは私の営業アシスタントです。以下の商談情報をもとに、取引先の担当者宛のフォローメールを作成してください。 商談日:【例:2026年7月25日】 相手の会社名と担当者名:【例:〇〇株式会社・田中様】 打ち合わせ内容のポイント:【例:製品デモを実施。予算は〇〇万円前後、導入は4月以降を検討中】 次のアクション:【例:追加資料を3日以内に送付し、2週間後に再打ち合わせ設定】 件名と本文をセットで出力してください。本文は200〜300文字以内、丁寧かつ簡潔に。同じ内容の繰り返しはなしで。
② 停滞商談の優先度整理
止まった案件が複数あり、今週どれに連絡すべきか判断したいとき
あなたは私の営業マネージャー役のアシスタントです。以下の停滞商談リストを見て、今週中に連絡すべき優先順を教えてください。 【HubSpotのStalled Dealsビューから情報をコピー、またはリストを貼り付ける】 各商談の情報:会社名/最終接触日/商談ステージ/金額(わかる範囲で) 判断基準:①案件金額が大きい ②接触が途絶えている期間が長い ③決裁フェーズに近い 上位3件を選び、それぞれ理由と最初に送るべきメッセージの方向性を教えてください。
③ 商談後のCRM入力整理
打ち合わせのメモからHubSpotに入力すべき内容をまとめたいとき
あなたは私のCRM入力アシスタントです。以下の打ち合わせメモを読んで、HubSpotの商談レコードに入力すべき情報を整理してください。 【会議メモや音声の文字起こしをここに貼り付ける】 整理してほしい項目: ・現在の商談ステージ(例:デモ済・提案書送付待ち) ・次のアクション(誰が・何を・いつまでに) ・出てきた課題・懸念点 ・関係者と決裁者の確認事項 ・次回打ち合わせの候補日 箇条書きで端的に、各項目5行以内でまとめてください。
フォローメールって、書く気力が続かないんですよね。打ち合わせが終わった瞬間がいちばん疲れてるときなので。
AIが「この商談、止まってますよ」と先に教えてくれる構造は、本当にありがたい。「覚えておかないといけない」というプレッシャーから解放されます。
まずはCRMの基本フィールドを埋めるところから。それだけで動きが変わります。