AIで需要予測をやってみたけど、精度が上がらない。配送計画ツールを入れたが、担当者の手直しがなくならない。在庫管理にAIを使っているはずなのに、欠品も廃棄も減らない。物流やSCMでAIを試した人が口にする感想は、不思議なほど似ています。
共通しているのは「AIに渡すデータや文脈が足りない」という点です。AIは魔法ではなく、良い入力があって初めて良い出力を返します。何を渡すかを変えるだけで、結果は変わります。
需要予測の精度が上がらない人が見落としていること
需要予測に社内の販売実績データだけを使っていませんか。気象・競合動向・業界イベントといった外部情報が欠けていると、AIも「過去の繰り返し」しか出せません。
Perplexityに「来月の【業界名】の需要に影響しそな外部要因(気象・競合・イベント)をまとめてください」と投げると、最新情報を引用付きで整理してくれます。その内容をChatGPTに渡して「この外部環境と過去の販売データをもとに、発注量の増減を提案してください」と続ける。Perplexityでの情報収集に以前は週1〜2時間かかっていた作業が、この二段階で15分以内に終わります。
相模石油が配車台数を1台削減できた理由
石油配送を手がける相模石油(従業員78名)は、AI配車ツール「Loogia」を導入し、配送計画時間を担当者1人あたり約1時間からほぼゼロに短縮しました。配車台数も4台から3台に最適化。ドライバーの残業削減と有給取得率向上まで実現しています。
この事例で重要なのは「専用ツールを入れたこと」ではなく、「配送計画に必要な情報をAIに正しく渡す仕組みを作ったこと」です。専用ツールを導入しなくても、ChatGPTに「納品先リスト・数量・時間指定を渡すので、最も効率的な配送順序を提案してください」と頼めば、ルートの叩き台を即座に出せます。ヤマト運輸の事例でも示されているように、大手・中小問わず「AIへの指示の質」が成果を左右します。
在庫の発注点計算を毎月手でやっていませんか
安全在庫の計算式を知っていても、品目ごとに毎月手動で回している担当者はほぼいません。結果として発注タイミングが感覚頼みになり、欠品か過剰在庫のどちらかが続く。
ChatGPTに「品目A:リードタイム7日、平均日次使用量50個、需要の標準偏差10個、サービス率95%。安全在庫と発注点を計算してください」と入力すると、数秒で結果が返ります。複数品目のデータをCSVで渡して「一括で計算してください」と頼めば、数時間かかっていた作業が15分前後に収まります。
需要予測・配送計画・在庫管理のどれも、AIに渡す情報を整えるだけで変わります。ツールを増やすより、今使っているAIに何を渡しているかを見直すほうが早い。
コピペで使えるプロンプト集
① 需要予測前の外部情報収集プロンプト
月次発注計画を立てる前に、市場・気象・競合などの外部要因をまとめたいとき
あなたは物流・SCM分野のリサーチアナリストです。 以下の業界・商品カテゴリについて、来月の需要に影響しそうな外部要因を調べてください。 【業界】:【例:食品宅配・電子部品・建材】 【主要商品カテゴリ】:【例:生鮮食品・半導体・内装資材】 【対象期間】:【例:2026年9月】 以下の観点でまとめてください: 1. 気象・季節要因 2. 業界イベント・繁忙期 3. 競合・市場の動向 4. その他リスク要因 各項目に「発注量を増やす・減らすべき方向性」を一言で添えてください。
② 配送順序の最適化プロンプト
複数の納品先が決まっていて、最も効率的な配送順を立案したいとき
あなたは物流計画の専門家です。 以下の納品先リストをもとに、最も効率的な配送順序を提案してください。 【出発地(倉庫)】:【例:東京都品川区○○1-1-1】 【配送日】:【例:2026年9月1日(月)】 <納品先リスト> 1. 【例:A社(港区)/10:00〜12:00指定/段ボール20箱】 2. 【例:B社(江東区)/13:00〜15:00指定/パレット1枚】 3. 【例:C社(墨田区)/時間指定なし/段ボール5箱】 配送順序・理由・所要時間の目安も記載してください。
③ 安全在庫・発注点の一括計算プロンプト
複数品目の安全在庫と発注点を一括で計算して、発注基準を見直したいとき
あなたは在庫管理の専門家です。 以下の品目データをもとに、各品目の安全在庫と発注点を計算してください。 【目標サービス率】:【例:95%(Z値=1.645)】 <品目データ> | 品目 | リードタイム(日) | 平均日次使用量 | 日次使用量の標準偏差 | |【品目A】| 【7】 | 【50個】 | 【10個】 | |【品目B】| 【3】 | 【200個】 | 【30個】 | 各品目について: ① 安全在庫(個) ② 発注点(個) ③ 補足コメント を表形式で出力してください。
「AIを入れたのに変わらない」って、入れ方の問題だったりしますよね。
相模石油さんの事例、従業員78名でも配車台数まで減らせた。渡す情報を変えるだけで、現場の景色が変わる好例だと思います。
まず「Perplexityで外部情報を集めてからChatGPTに渡す」、その一往復から試してみてください。