問い合わせが届くたびに、内容を読んで、カテゴリを判断して、担当者に振り分けて、テンプレを探して送る。その一連の作業が1日に何十件も続く。CS担当者の初動は難しい仕事ではない。ただ量が多い。対応に追われているうちに、改善を考える時間がどこにもなくなる。
AIが問い合わせを読んで分類・返信まで出す
ChatGPTやClaudeに問い合わせ本文を貼り付けると、内容のカテゴリ、優先度(高・中・低)、テンプレ返信の下書きの3つを一度に出力できる。プロンプトはシンプルだ。「次の問い合わせを読んで、①カテゴリ、②優先度、③返信の下書きを出してください」と書いて問い合わせ文を貼るだけでいい。
担当者がやることは、その出力を確認して送ることだけになる。分類ミスがあれば修正する。返信の口調を少し整える。作業の大部分は確認と微調整に変わる。
カテゴリの定義は自社の状況に合わせて変えればいい。「返金」「商品不良」「使い方の質問」「配送遅延」「その他」のように5〜7種類あれば十分だ。最初から完璧な分類を目指さなくていい。AIの判断を1週間使ってみて、よく間違えるパターンを補足するだけで精度は上がる。
JALカードが実証した9割AI完結の現場
組織レベルでこれを実現した事例がある。JALカードは2026年4月、Gen-AXの自律型AIオペレーター「X-Ghost」を導入し、コンタクトセンターに届く問い合わせの9割超をAIが単独で処理できる体制を構築した。
注目すべきは、AIが単純な返信を自動化しているだけではなく、問い合わせの内容を理解して適切な判断を下したうえで対応を完結させている点だ。人間のオペレーターが介在するのは、感情的なクレームや複雑な例外ケースだけになった。結果として、CS担当者の仕事の定義そのものが変わった。1件1件の対応に追われるのではなく、AIでは対応できない案件にエネルギーを集中できる体制になっている。
明日から試せる順序
まずはChatGPTやClaudeで手動から始めるのがいい。特別なシステムは必要ない。
最初に、実際に届いた問い合わせを5〜10件ピックアップし、AIに分類・優先度・返信下書きを出させて精度を確認する。次に、うまくいったプロンプトをチームで共有し、誰でも同じ使い方ができるようにする。ここまでで担当者ごとの判断ばらつきが減る。
そのうえで、ZapierやMake.comを使ってチケットシステムと連携させ、問い合わせが届いた瞬間にAIがトリアージを走らせる仕組みにする。難しいのは最初のプロンプト設計だが、チームで2〜3週間試行錯誤すれば精度は安定してくる。横浜銀行が書類処理で実証したように、型のある業務はAIと相性がいい。CS初動も例外ではない。
コピペで使えるプロンプト集
① 問い合わせをAIで瞬時に分類・優先度判定するプロンプト
受信した問い合わせの初動処理・振り分け作業
あなたは【会社名】のCSチームの一員として問い合わせの初動対応を担当しています。以下の問い合わせを読み、対応を効率化するために3点を出力してください。 ①カテゴリ:【返金・商品不良・使い方の質問・配送遅延・クレーム・その他】から最も近い1つ ②優先度:高(24時間以内)・中(3営業日以内)・低(1週間以内) ③判定理由:なぜそのカテゴリ・優先度にしたかを30文字以内で説明 問い合わせ内容: 【ここに問い合わせ本文を貼る】
② 問い合わせへのテンプレ返信下書きをAIに書かせるプロンプト
分類後の初回返信メール作成
あなたは【会社名】のCS担当者として、以下の問い合わせへの返信文を書いてください。 条件: ・丁寧だが読みやすい文体(ですます調、難しい言葉は使わない) ・解決策がある場合は具体的な手順を箇条書きで示す ・解決に時間がかかる場合は、いつまでに折り返すかを明記する ・文字数:200〜300文字以内 問い合わせ内容:【ここに問い合わせ本文を貼る】 カテゴリ:【分類結果を記入】
③ CS問い合わせ傾向の週次まとめと改善提案プロンプト
週末の問い合わせデータ集計・改善アクション立案
あなたは【会社名】のCSリーダーです。以下の1週間分の問い合わせデータを読んで、次の4点を分析してください。 ①カテゴリ別件数と割合(上位3カテゴリ) ②優先度「高」の問い合わせに共通するパターンと原因仮説 ③繰り返し発生している問い合わせとその根本原因 ④来週に向けた改善アクション案(3つ以内) 問い合わせデータ: 【ここにカテゴリ・件数・主な内容のまとめを貼る】
問い合わせ対応って、1件1件は短いのに、気づいたら何時間も使ってた、なんてことありますよね。
JALカードの9割AI処理という数字、改めて見ると圧倒的です。でもこれ、高度なシステムを一夜で作ったわけじゃなくて、「まず分類だけAIに任せる」から積み上げた結果のはず。
まず1件、ChatGPTに問い合わせを貼ってみることから始めてみてください。