商談が終わって、電車のドアが閉まった瞬間に気づく。議事録を送らなきゃ、CRMを更新しなきゃ、上司に今日の結果を報告しなきゃ——3つの後処理が頭の中に残っている。帰社してパソコンを開いて、また記憶を手繰り寄せながら入力する。その時間が30分、多いときは1時間近くになる。外回り営業担当者が帰社後に残業する一番の理由が、この記録作業だ。
Copilot Coworkに口頭で投げる、3ステップ
Microsoft 365 CopilotのiOS版で使えるようになったCowork機能は、スマートフォンからタスクをAIに委任して処理させる仕組みだ(Copilot CoworkのiOS対応と使える機能について)。音声入力と文字入力どちらでも使える。商談直後、記憶が鮮明なうちに電車の中で話しかけるだけでよい。
まずアプリを開いて話しかける。「今日の商談メモを作って。相手は○○株式会社の田中部長、課題は在庫管理のコスト削減、提案した解決策は〇〇システムの導入で、次のステップは来週火曜にデモの日程を確認すること」。箇条書きにしなくてもいい。会話のように伝えるだけで、Copilotが議事録フォーマットに整形する。
次に「さっきの内容でCRM入力用のテキストも作って。商談ステージは提案中、次のアクションは10月1日にデモ実施、確度は60%」と続ける。最後に「田中さんへのフォローアップメール、今日のお礼とデモ日程確認の一文を入れて簡潔に」で締める。3つの後処理が、電車の2〜3区間で終わる。
繰り返し使うなら「スキル登録」が本命
Copilot Coworkには、よく使うタスクの手順をあらかじめ「スキル」として保存する機能がある。「営業後処理スキル」を一度作って登録しておくと、次回からは「営業スキルで今日の商談メモ」と言うだけで同じ形式が出てくる。毎回同じ説明をしなくてよいので、1回あたり数分が積み重なってくる。
NTTデータグループは2025年度に500件の開発プロジェクトへ生成AIを適用し、開発工程全体で20%の生産性向上を報告している(日経xTECH)。大規模展開でこれだけの数字が出た背景は、「AIに何を渡すかを型化して全員が同じ使い方をした」ことにある。外回り営業でも、個人ごとにバラバラに使うより「営業後処理スキル」を組織共有して同じ形式で動かすほうが、CRMのデータ品質も上がって一石二鳥になる。
週10件の商談をこなす担当者が、1件あたり30分の後処理を5分に縮めると、週で25時間以上が空く計算になる。帰社後に座ってやっていた作業が移動中に終わるので、オフィスに戻ったときに使える集中力が違う。
使い始める前に確認しておく2点
相手の氏名・社名などの個人情報を入力する前に、所属会社のMicrosoft 365利用ポリシーを確認しておく。企業契約のMicrosoft 365ではデータが学習に使われない設定が標準的だが、確認は必須だ。音声入力は固有名詞が誤認識されることがある。出力後30秒だけ目視確認する習慣をつけると、後から修正が発生しない。
「商談中は相手と話すことだけに集中して、記録はあとでCopilotに渡す」——この切り替えが定着すると、商談中にメモを取る時間も自然になくなる。相手の言葉に集中できるようになると、商談の質も変わってくる。
コピペで使えるプロンプト集
① 商談後にそのまま使える議事録生成プロンプト
商談直後の移動中・電車内での議事録作成
あなたは営業担当者の議事録作成をサポートするアシスタントです。 以下の商談メモをもとに、社内共有・顧客送付に使える議事録を作成してください。 【相手会社名・担当者名】 【商談日時・場所】 【相手の課題・ニーズ】 【提案した内容・製品・サービス名】 【相手の反応・懸念点】 【合意した次のアクション・日程】 出力形式: - 件名(メール転用可能なもの) - 日時・参加者 - 協議内容(3〜5行) - 次回アクション(箇条書き、担当者・期日付き) 読みやすく簡潔に、400文字以内でまとめてください。
② 商談内容をCRM入力フォーマットに変換するプロンプト
SalesforceやHubSpotなどCRMシステムへの商談情報入力
あなたはCRM入力をサポートするアシスタントです。 以下の商談情報をCRM入力用のテキストに変換してください。 【相手会社名・担当者名・役職】 【商談ステージ(初回接触/提案中/クロージング等)】 【相手の主な課題・決裁条件】 【提案内容・金額感(あれば)】 【次のアクションと予定日】 【受注確度(%)】 出力形式: - 会社名・担当者 - 商談ステージ - 課題サマリー(2〜3行) - 次のアクション(担当・期日) - 確度コメント コピペしてすぐ貼れる形で出力してください。
③ 商談後フォローアップメールを30秒で作るプロンプト
商談翌日のお礼・次ステップ確認メール作成
あなたは営業担当者のメール作成を支援するアシスタントです。 以下の情報をもとに、商談後のフォローアップメールを作成してください。 【相手の氏名・会社名・役職】 【商談で話した主なテーマ・提案内容】 【次のステップ(デモ・見積もり提出・資料送付など)と予定日】 【一言追加したい内容(任意)】 条件: - 件名から本文まで完成形で出力する - 文体はビジネス丁寧語、簡潔に200文字以内 - 押しつけがましくなく、次のアクションが自然に伝わる文体 コピペしてすぐ送れる形で出力してください。
商談が終わったあとの「やること溜まってる感」、あれって地味にしんどいですよね。
移動中にCopilotが整形してくれると、帰社後の「まず何から手をつけよう」感がゼロになるのが気持ちいいんです。スキル登録まで済ませると、もはや「後処理がある」という感覚すら消えてきます。
一度型を作ってしまえば、あとは任せるだけ。まず1件の商談でやってみてください。