MicrosoftのAI部門が音声認識モデル「MAI-Transcribe-2」を公開したことで、60言語の会議録・通話の文字起こしが競合比で最大10倍の速度で処理できるようになりました。2026年9月3日に公開され、Microsoft AI Foundry経由で利用できます。

精度はFLEURSベンチマーク60言語すべてで首位

多言語音声認識の標準指標「FLEURS」において、MAI-Transcribe-2は60言語すべてで首位を獲得しました。平均単語誤り率は5.2%。処理速度はOpenAIのGPT‑Transcribeの10倍、ElevenLabsのScribe v2の7倍、GoogleのGemini 3.5 Transcribeの5倍に達し、ノイズの多い音声環境でも精度が保たれます。

ヒングリッシュ(ヒンディー語と英語の混在)やスパングリッシュ(スペイン語と英語の混在)など、複数言語が入り交じる会話も自動識別できるコードスイッチング機能も備えています。グローバルチームの会議や多言語対応のコールセンターでは、この機能が実用上の差を生みそうです。

スピーカー識別・単語タイムスタンプ・キーワード優先認識

テキスト化の機能も充実しています。話者を自動で識別するスピーカーダイアライゼーション、単語単位のタイムスタンプ付与、業種固有の専門用語を優先認識するキーワードバイアシングが標準装備されています。発話スタイルは「逐語」と「クリーン」から選択可能で、議事録と字幕で求められる出力の違いに対応できます。

料金は1時間あたり0.10ドル、2026年末まで

現時点の料金は音声1時間あたり0.10ドルで、Microsoftは「市場で最も競争力のある価格」としています。ただしこれは限定期間の提供で、2026年末が対象期間です。2027年以降の正規価格は未発表です(Microsoft AI公式発表)。

会議録・字幕制作・コールセンターに何が変わるか

週に数十時間の録音を扱うコールセンターや、毎日会議録を処理するチームにとっては、速度が直接コストに直結します。精度が高くなれば、その後のAI要約やChatGPT・Claudeとの組み合わせで、行動項目の自動抽出まで一気通貫できるフローが現実的になります。

字幕制作においても、60言語×単語単位タイムスタンプの組み合わせは強力です。動画コンテンツの多言語展開を半自動化するワークフローと相性がよく、制作コストを下げる可能性があります。なお、音声テキスト化の競争はMicrosoftだけでなく続いており、GoogleもGemini 3.5 Transcribeで誤字率2.6%を達成しています。各サービスの比較検討が一層重要になってきています。

Microsoftが音声AIで独自モデルを打ち出す理由

OpenAIのWhisperシリーズが文字起こしAIの基準を作り、その後GPT-Transcribeが引き継いだ流れの中で、Microsoftが独自モデルを持ち込んだ意味は単純ではありません。Azure AI Foundryの競争力を高めながら、音声→テキスト→AI処理の一気通貫をMicrosoftエコシステム内で完結させるという狙いが透けて見えます。MAIシリーズの動きは今後も続きそうです。

「議事録の文字起こし、終わらない……」という経験、きっとありますよね。

MAI-Transcribe-2は速さだけでなく、話者の識別や複数言語が混在する発話への対応まで一本化できるのが面白いところです。会議後の地味な作業時間が、想像以上に短縮されるかもしれません。

まずはMicrosoft AI Foundryで試してみるのが、一番手早い確認方法ですよ。

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