新しいメンバーが書いたSNS投稿を見て「悪くないけど、うちっぽくない」と感じたことはないでしょうか。表現は正確でも、何かトーンが違う。その「違い」を言語化できないまま、修正依頼が何往復も続く。SNS担当者にとって、これが意外ときつい仕事です。
Google Gemini に「Skills(スキルズ)」という機能が登場しています。SkillsはGeminiの以前の機能「Gems」をリニューアルしたもので、10月5日のWorkspace展開から順次使えるようになっています。自社のブランドボイスをSkillとして一度登録しておくだけで、以降の投稿生成に自動的に反映される仕組みです。
Skills登録、3ステップで完了する
まず、自社の投稿を見返して「うちっぽさ」を言語化します。体言止めを使わない、語尾は〜です/ます統一、競合他社の名前は出さない、絵文字は控える、といった具合です。普段は口頭で伝えている暗黙ルールをテキストにするだけで十分です。実際の自社投稿例を2〜3件コピーして添付すると、精度がさらに上がります。
次に、Gemini の設定画面から新しいSkillを作り、名前(例:「自社SNSボイス」)を付けてルールを書き込みます。これで登録完了です。あとは投稿を生成するたびにそのSkillを選ぶだけ。「この商品紹介を投稿文にして」と指示するだけで、登録したトーンの文章が出てきます。
修正の往復が3〜5回あったとすれば、1回以内に減ります。担当者1人あたり週30分から1時間はここで消えていた時間です。Skillsの設定そのものは30分あれば終わります。
外注コストをゼロにした、同じ発想
求人情報サービスのdip(ディップ株式会社)は、生成AIを全社展開し、求人原稿の外注コストをゼロにしました。以前は社外ライターに委託していた原稿作成を、生成AIと社内アンバサダー制度で内製化した事例です(AI導入白書2026掲載)。
取り組みの核は「AIに何をどう伝えるか」を社内で統一したことです。業種、読者層、言葉のトーン、NGワードを明文化して共有することで、誰がAIを使っても同じ品質の原稿が出る状態を作りました。ブランドボイスSkillの設計と、発想はまったく同じです。コンテンツ制作の外注依存を減らしたい担当者にとって、参考になる事例です。
Skillsをスタックして、さらに効率よく
Skillsには複数を同時に重ねて使う「スタック機能」があります。ブランドボイスのSkillに「秋の販促キャンペーン向け」Skillを重ねれば、トンマナを保ちながらイベント向けの表現もできます。Instagram用とX(旧Twitter)用でSkillを分けて管理することも可能です。
修正依頼の往復が減れば、コンテンツ担当者は投稿の量より企画や分析に時間を使えます。「なんか違う」で消えていた時間が、戦略的な仕事に変わります。まず1つ、自社のブランドボイスSkillを設定してみてください。
コピペで使えるプロンプト集
① 自社ブランドボイスを言語化する
Gemini Skillsへのブランドボイス登録前の準備
あなたはSNSブランディングの専門家です。以下の自社情報をもとに、AIが使えるブランドボイスガイドラインを作成してください。 【会社名・業種】 【ターゲット読者(年齢・職種・悩み)】 【自社のトーン(例:親しみやすい/プロフェッショナル)】 【使ってよい言葉・表現(例文があれば添付)】 【NGワード・NGトーン】 【各SNSプラットフォームの特徴的なルール】 出力形式:箇条書きで整理し、Gemini Skillsにそのままコピペして登録できる指示文にまとめてください。
② ブランドボイスを守りながら投稿文を生成する
SNSキャンペーン・商品告知投稿の自動生成
あなたはSNSコンテンツライターです。以下の条件で投稿文を作成してください。 【商品・サービス名】 【PRしたいポイント(1〜2点に絞る)】 【使用するSNSプラットフォーム(Instagram / X / LinkedIn)】 【投稿の目的(認知拡大/エンゲージメント向上/サイト誘導)】 【文字数の目安(例:150字以内)】 自社のブランドボイスに従い、修正なしで使えるレベルの投稿文を3パターン作成してください。各パターンにA/Bテスト用の意図を1行で添えてください。
③ 1つの投稿をプラットフォーム別にリライトする
1コンテンツを複数SNSに横展開する
以下のベース投稿文を、各SNSプラットフォームのユーザー特性と表示形式に合わせてリライトしてください。 【ベース投稿文(ここに貼る)】 リライト先: ・Instagram(ビジュアル訴求・改行多め・ハッシュタグ3〜5個) ・X(140字以内・テンポよく・RTされやすい書き出し) ・LinkedIn(ビジネス視点・論理的・読みやすい段落構成) 自社のブランドボイスを維持しながら、各プラットフォームで最も反応が取れる形にしてください。
SNS担当者って、「なんか違う」を説明するのがいちばん疲れる仕事ですよね。
Gemini Skillsは、その「なんか違う」を事前に吸収してくれる仕組みです。一度言語化しておけば、毎回最初から説明しなくていい。
まず自社の投稿を3件集めるところから始めてみてください。それだけで登録の準備は半分終わります。