DeepSeekが2026年7月15日にV4を正式公開したことで、主要なコーディングベンチマークでフロンティアモデルと拮抗する性能を、大幅に低いコストで利用できる選択肢が整いました。

V4-ProとV4-Flash、2系統のアーキテクチャ

リリースされたのはV4-ProとV4-Flashの2モデルです。V4-Proは総パラメータ1.6兆(推論時アクティブ490億)、V4-Flashは総パラメータ2,840億(アクティブ130億)で構成され、どちらも100万トークンのコンテキストウィンドウに対応しています。

推論時の計算量はV3の27%に削減されており、同等以上の性能を維持しながらインフラコストを抑える設計になっています。MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャの進化によるもので、全パラメータのうちごく一部だけを各推論で使います。同じ出力品質を維持しながら処理コストが下がる仕組みです。

コーディングベンチマークでフロンティアモデルと並んだ

SWE-bench Verifiedではフロンティアモデルのスコアに肉薄する結果が報告されています。複雑な計画を要するTerminal-Bench 2.0では差が出るものの、コーディング・知識処理の一般業務では実質的な代替として使えるレベルです。

DeepSeek V4はオープンウェイトとして提供されます。Kimi K3と並ぶ形で、フロンティアモデルに迫る性能を持つオープンウェイトの選択肢が増えていることを意味します。自社環境へのデプロイや、APIコスト以外の調達手段として検討できます。

電力料金のようなピーク・オフピーク定価制

DeepSeek APIで新たに導入されたのがピーク・オフピーク定価制です。毎日の午前9〜12時と午後2〜6時をピーク時間帯とし、この時間帯のAPI料金は平時の2倍になります。電力料金に近い発想で、オフピーク帯に処理を寄せることでコストを抑えられます。

バッチ処理や夜間の自動化フローをオフピーク帯にシフトするだけで、AI利用コストを最適化できます。定時に急いで処理する必要のないタスク——レポート生成・データ整形・要約作成・コード生成——は特にこの仕組みを活かしやすいです。企業のIT部門が時間帯別でAPI呼び出しをスケジューリングするだけで、月次コストに差が出てきます。

DeepSeek V4は中国のWAIC(世界人工知能大会)開催時期に合わせてリリースされました。フロンティアモデルに対しより低コストでの選択肢として存在感を強めており、業務ツールへの組み込み時のコスト設計・自社環境へのデプロイ可否・ピーク時間帯の分散、という3点が選定軸になってきます。

「性能はいいのに高くて手が出ない」と感じていたAIのコスト構造が、またひとつ変わりました。

ピーク・オフピーク料金という発想は面白くて、夜間に処理を回すという普通の工夫がコスト削減に直結する。使い方の設計次第で差が出る時代になってきた気がします。

オープンウェイトが増えることで、AI選定の軸がサービス品質だけじゃなくなってきました。一度試してみる価値はあると思います。

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