週100件の問い合わせをこなすのに、担当者は毎回ゼロから文章を書いている。ベテランが対応すると20分で終わる案件が、新入りだと1時間かかる。人を増やしても、知識の偏りは解消されない。
AIエージェントで変えられるのはこの3点だ。「問い合わせの自動分類」「回答下書きの生成」「品質チェック」。この3工程をAIが先行処理することで、担当者は確認と最終判断に集中できる。
問い合わせの自動分類から始める
直近1カ月の問い合わせを100件ほど用意して、ChatGPTに「このリストをカテゴリ分類してください。カテゴリは5種類以内で」と渡す。分類精度は90%前後出ることが多い。残りの10%がイレギュラーなので、そこだけ人が判断するルールを決める。
Notion AIのデータベースと組み合わせると、分類された問い合わせを担当者ごとに振り分けて管理しやすくなる。ツールに慣れてきたら、自動タグ付けの仕組みへ発展させられる。
JR東日本が知識の属人化を解消した仕組み
JR東日本はNECと共同開発した生成AIに過去の障害データを学習させ、信号通信設備の故障復旧時間を最大50%削減した(公式発表、2026年3月から本格運用)。ベテランしか知らなかった判断基準をAIが引き継ぎ、経験の浅い担当者でも迅速な対処が可能になった。
カスタマーサポートでも同じ発想が使える。過去の問い合わせと最善回答をセットでAIに蓄積させると、新しい問い合わせへの下書き精度が上がる。Notion AIのデータベースに対応履歴を積み上げるだけで、これが徐々に機能し始める。
回答ドラフトが1件15分から4分になった
「あなたはECサイトのカスタマーサポート担当です。次の問い合わせへの回答下書きを書いてください。問い合わせ:【本文】 参考回答例:【過去の類似回答】」という形でClaudeやChatGPTに投げる。30件試したある企業では、1件あたりの回答作成時間が平均15分から4分に短縮された。担当者のコメントは「内容の確認と語尾の調整だけになった」だった。
社内向けのAI対応と合わせて整備するなら、AIで社内問い合わせを減らす前に知っておきたい3つのことも参考になる。外向きと内向きの対応を同時に自動化すると、チーム全体の負荷が下がりやすい。
品質チェックで回答のばらつきをなくす
送信前の確認もAIに任せられる。「次の回答が以下の基準を満たしているか確認してください。①感謝・共感の表現がある ②顧客が次に取るべき行動が明記されている ③社内禁止用語が含まれていない」という形でChatGPTに渡す。ベテランの「感覚的な確認」を言語化して、新入りにも再現できる形に整えられる。
AIエージェントの役割は、担当者が「毎回考えている部分」を先取りして出力することだ。判断を置き換えるのではなく、判断の前の準備を自動化する。この使い方が、現場に定着しやすい。
コピペで使えるプロンプト集
① 問い合わせを5カテゴリに自動分類する
CS部門で問い合わせ件数が多く、振り分けに時間がかかる場合
あなたは【会社名】のカスタマーサポート担当です。以下の問い合わせ一覧を、5つのカテゴリに分類してください。 カテゴリ例:①返金・交換 ②製品不具合 ③使い方の質問 ④配送・在庫確認 ⑤その他 【問い合わせ一覧をここに貼り付け】 各問い合わせについて、以下の形式で出力してください。 問い合わせ番号:分類カテゴリ(①〜⑤):理由を一言 分類できないものは「⑤その他」として理由も書いてください。
② カスタマーサポートの回答下書きを作成する
メール・チャットでの問い合わせに回答下書きを素早く作る
あなたは【会社名】のカスタマーサポート担当者です。以下の問い合わせに対して、回答の下書きを作成してください。 【問い合わせ本文をここに貼り付け】 参考にする過去の回答例: 【過去の類似問い合わせへの回答をここに貼り付け】 以下の条件を守ってください。 - 丁寧語・敬語で書く - 200文字以内で簡潔にまとめる - 次に取るべき行動を具体的に1つ明示する - 「いつもお世話になっております」などの定型文は不要
③ 送信前の回答を3項目で品質チェックする
回答の品質を均一化し、送信前に素早く確認する
以下の回答文を、3つの基準で確認してください。 【送信予定の回答文をここに貼り付け】 確認基準: ①感謝・共感の表現が含まれているか ②顧客が次に取るべき行動が明示されているか ③【会社で禁止している表現・NGワードをここに記入】が含まれていないか 各基準について「OK / 要修正」で評価し、要修正の場合は具体的な修正案を提示してください。
同じ質問に何十回も答えるの、本当に消耗しますよね。
AIに先行処理させると、担当者の頭が「確認モード」に切り替わって、格段に楽になります。
まずは1カ月分の問い合わせを分類させるだけでいい。そこから始めてみてください。