月初に3日かけて計画を立て、2週間後には状況が変わっていた——SCM・企画担当者なら、このループに心当たりがあるはずです。需要は動き、在庫は積み上がり、月次計画はいつの間にか「参考資料」になっていく。問題は計画の質ではなく、鮮度です。

週次で計画を更新したくても、1回の立案に2〜3日かかる現実がある。その前提を変えるのが、ChatGPTへの業務の任せ方です。

計画立案の工数を奪っているのはどこか

計画業務で時間がかかる工程は3つ。データの収集と整理、複数制約の考慮(在庫・生産ライン・需要予測のバランス)、関係者への説明用フォーマット作成です。このうち最初と最後の2つは、ChatGPTに任せられます。

たとえば過去4週分の販売実績と現在庫をExcelで貼り付けて「翌週の需要が±15%変動した場合、在庫を最小化する生産計画の素案を作って」と送るだけ。ドラフトが10分以内に出てきます。プランナーが判断すべきは、その出力の確認と例外処理だけになります。

ChatGPTに渡す情報と、返ってくるもの

週次で回すポイントは「完璧な計画を作ろうとしない」ことです。ChatGPTに渡すのは、直近4週分の販売実績・在庫水準・今週の特記事項(キャンペーン・天候・競合の動き)の3点だけ。これで「来週の需要仮説」と「見直すべき在庫ポイント」が3分で出てきます。

「生産ライン1本が来週火曜まで停止」「冷凍倉庫の稼働率が80%超」のような制約条件も箇条書きで貼れば、それを考慮した優先順位を返してきます。計画立案の工数が従来の3分の1程度になります。週次レポートの構成も「この形式で関係者向けに整形して」と一行加えるだけです。

ニチレイ・アイスが示した「70%削減」という実績

食品製造大手・ニチレイ・アイスは日立のLumada計画最適化AIを導入し、生産・在庫・輸送の計画立案時間を約70%削減しました(2025年10月発表)。40以上の制約条件と約10個の相反するKPIを同時に最適化するという、人手では追いきれない複雑さをAIで処理しています。

使ったのは専用システムですが、「データを渡してAIが制約付きで最適解を出す」という構造はChatGPTでも再現できます。規模の差はあっても、プランナーが例外処理と戦略判断に集中するという形は同じです。サプライチェーン担当者が「計画を作る仕事」から「計画を判断する仕事」に移行できるかどうかは、AIへの任せ方で決まります。

月次から週次に変える3週間のステップ

1週目はChatGPTで計画ドラフトを作る練習だけでOKです。実際の計画はまだ手でやりながら、並行してChatGPTの出力を確認する。2週目にChatGPTのドラフトを叩き台にして会議に持ち込む。3週目から週次レビューの時間枠(月曜30分)を確保して、フローとして固める。

計画の頻度が上がると、現場の判断スピードも上がります。在庫のズレに1週間早く気づけば、発注ミスや廃棄ロスは確実に減る。FP&A担当者がAIで週3時間を取り戻したのと同じ構造の変化が、SCM・企画部門でも起きます。

月次計画を立てた瞬間から鮮度が落ちていく感覚、SCM担当なら分かりますよね。

ChatGPTは「複数の制約条件を並べて、優先順位を出す」のが意外と得意です。人がやるべき判断の量が大幅に減ります。

まずは今月の計画データをChatGPTに貼ってみるところから始めてみてください。

コピペで使えるプロンプト集

① 週次需要予測ドラフトの作成

SCM・計画担当者が週次で需要予測と在庫計画のドラフトを作成する

あなたはサプライチェーン計画の専門家です。

【背景】私は【業種:食品/日用品/アパレル等】メーカーのSCM・企画担当です。毎週月曜に翌週の計画ドラフトを作成しています。

以下のデータをもとに、翌週の需要仮説と在庫対応の優先ポイントを整理してください。

直近4週の販売実績:【ここにデータを貼る】
現在庫水準:【品目ごとの在庫日数または数量】
今週の特記事項:【キャンペーン・天候・競合動向など】

出力形式:
1. 来週の需要仮説(品目別・±変動率)
2. 在庫を見直すべきポイント(上位3件)
3. 生産・発注で優先すべきアクション
SCM・物流計画立案

② 複数制約を考慮した生産計画素案

生産ラインの制約・在庫上限・需要変動を同時に考慮した生産計画の叩き台を作成する

あなたは製造業の生産計画担当者です。

以下の制約条件と需要見通しをもとに、来週の生産計画素案を作成してください。制約を優先順に整理したうえで、実現可能な計画を提示してください。

需要見通し:【品目と数量または変動率】
生産ライン制約:【例:Aライン月〜木のみ稼働、最大生産量◯個/日】
在庫上限:【倉庫キャパ・品目ごとの上限在庫日数】
優先KPI:【例:在庫最小化 / 欠品ゼロ / 稼働率最大化】

出力形式:
1. 制約の優先順位と理由
2. 品目別の推奨生産数量
3. リスクポイントと代替案
SCM・物流生産管理

③ 計画変更の差分分析と関係者報告文の作成

先週の計画から変更が生じた場合に、差分の整理と関係者向け報告文をすばやく作成する

あなたはSCM・企画担当者のアシスタントです。

先週の計画と今週の実績・変更点をもとに、関係者(営業・生産・物流)への週次報告文を作成してください。

先週の計画:【品目別の計画数量または主要KPI】
今週の実績・変更内容:【実績値・変更理由】
次週への影響:【在庫・生産・出荷で予想される変化】

出力形式:
1. 変更の要因サマリー(3行以内)
2. 関係部門への影響整理(箇条書き)
3. 次週に向けた推奨アクション
4. 関係者向けメール本文(200字以内)
SCM・物流社内報告