プレスリリースの締め切り前日、また午後10時になっていた。製品の正式名称、担当者コメント、配信先メディアのトーン確認——同じ構造の文書を、毎回ゼロから書いている。メディアモニタリングはGoogleアラートを手動でチェックしてスプレッドシートに貼り付け、危機対応のひな型はなく、炎上が起きた日に役員と深夜まで文章を直している。

ChatGPTやNotion AIを使えば、この時間のかかり方はかなり変わる。

プレスリリースの「型」を渡すと、作業時間が変わる

AIにプレスリリースを書かせると薄い文章しか出ない、という体験をした人は多い。原因は「テーマだけ投げている」こと。AIは渡した情報を元に書くので、少なければ少ないほど汎用的な文章になる。

渡すべきは5点だ。①発表内容(製品名・機能・価格・発売日)、②発表の背景・ストーリー、③担当者コメントの素案、④配信先メディアのトーン(ビジネス媒体向けなど)、⑤禁止ワードや表記ルール。ChatGPTにこの5点を箇条書きで渡せば、自社のテンプレートに近い品質の初稿が出てくる。修正の手間を含めても、ゼロから書くより作業時間が50〜70%短くなる。

Notion AIを使っているチームは、ワークスペース内に「プレスリリース指示テンプレート」ページを作り、リリースごとに5点を埋めてAIに渡すフローにすると、チーム全員が同じ品質で書けるようになる。

メディアモニタリングをPerplexityで30分に圧縮する

毎朝のニュースチェックに、Perplexityが便利だ。「【自社名】に関する今週の報道を教えてください。ポジティブ・ネガティブ・中立に分類してください」と入力するだけで、散らばった情報が整理される。GoogleアラートのメールをChatGPTに貼り付けて「競合他社と比較した言及量のサマリーを作って」という使い方も実用的だ。

これだけで週2〜3時間かかっていた情報収集が、30分程度に収まる。節約した時間を、メディアとの関係構築や発信コンテンツの質改善に使える。

アイニコグループは広報業務の880時間をAIで削減した

奈良・京都南部に拠点を置くアイニコグループは、介護・不動産・広報など11の事業を持つ複合企業。IT専門人材がいない中で、ChatGPTを中心に全事業部へ生成AIを展開し、年間2,247時間の業務削減を達成した(総務省情報通信白書 令和8年版掲載)。

そのうち広報業務だけで880時間削減。プレスリリースの下書き作成、SNS投稿文の量産、社内向けニュースレターの自動化が主な内容だという。大企業でなくても、エンジニアがいなくても始められることの証明だ。社内でAIを使い始める前に整理しておきたいことさえ押さえれば、専任担当がいなくても動き出せる。

危機対応の「ひな型」は平時に作っておく

炎上や製品トラブルが起きてから文章を書こうとすると、感情的なバイアスがかかり、確認に時間がかかる。対応が遅れるほど信頼損失が大きくなる。

ChatGPTで「製品の品質問題が発覚した場合の初期声明文の構造を作ってほしい」と事前に依頼し、トーン・構成・NG表現をあらかじめ決めておく。実際の事案が起きたら、その型に事実を流し込むだけでよい。Notion AIを使っているチームは、このひな型をワークスペースに置いておけば、担当者が変わっても即座に動ける。

毎回ゼロから書かなくていい。型を整えるのが広報担当の仕事で、そこにAIを使う。

締め切り前日の深夜、あの「またゼロから書いてる」感覚、広報の人なら絶対に分かると思います。

渡すべき5点を整理するだけで初稿の品質が変わる、というのは試してみると本当にそうで。アイニコグループの880時間削減も、スタート地点は同じことだったんじゃないかと感じました。

まず次のリリースで、5点を書き出してChatGPTに渡してみてください。

コピペで使えるプロンプト集

① プレスリリースの初稿を30分で作る

新製品・サービス発表のプレスリリース作成

あなたは企業の広報担当者です。以下の情報をもとに、メディア向けプレスリリースの初稿を書いてください。

【発表内容】
製品名:〈例:AI文書作成ツール「QuickPR」〉
主な機能:〈例:プレスリリースの自動生成・配信管理・分析ダッシュボード〉
価格・提供開始日:〈例:月額9,800円・2026年11月1日〉

【発表の背景・ストーリー】
〈例:広報担当者の業務負荷削減のために開発〉

【担当者コメント素案】
〈例:CEO・広報部長のコメント〉

【配信先メディアのトーン】
〈例:ビジネス媒体向け・堅めのトーン〉

【禁止ワード・表記ルール】
〈例:「業界最高」禁止・製品名は必ずカタカナ〉

出力形式:見出し・リード文・本文・担当者コメント・会社概要の順で。文字数は800〜1200字。
広報・PR文書作成

② 週次メディアモニタリングレポートを自動生成する

週次の報道チェックとサマリーレポート作成

あなたは広報担当のアシスタントです。以下のニュース記事・アラートメールを読み、週次メディアモニタリングレポートを作成してください。

【対象期間】
〈例:2026年10月24日〜30日〉

【会社名・ブランド名】
〈例:株式会社サンプル / ブランドA〉

【貼り付けるニュース・アラートメール】
(ここにGoogleアラートやニュース本文を貼り付け)

出力形式:
1. 総言及件数(ポジティブ・ネガティブ・中立に分類)
2. 主要メディア名と見出し一覧
3. 競合他社との比較言及数(分かる範囲で)
4. 今週の重要ポイント(3点以内)
5. 来週の注目ポイント
広報・PR情報収集・調査

③ 危機対応の初期声明文ひな型を事前に作る

炎上・トラブル発生時の緊急広報対応準備

あなたは企業の広報・法務担当アシスタントです。以下の条件で危機対応時の初期声明文のひな型を作成してください。

【想定する事案タイプ】
〈例:製品の品質問題・情報漏えい・不祥事報道・SNS炎上〉

【自社情報】
会社名:〈例:株式会社サンプル〉
業種:〈例:食品製造業〉
事案の概要(仮):〈例:製品に異物混入の可能性があるとの報告を受けた〉

【NG表現・注意事項】
〈例:原因が確定していない段階では断定表現を使わない〉

出力形式:
1. 第一報(24時間以内)の声明文ひな型
2. 調査中の中間報告文ひな型
3. 使ってはいけない表現リスト(5点)
広報・PRリスク管理