ServiceNowが「AI Passport」を2026年10月15日に発表したことで、企業内で動くAIエージェントに暗号学的な身元証明と権限制御を持たせられるようになりました。各エージェントに「何ができて何ができないか」を事前定義し、実行中に逸脱を試みた瞬間に自動で遮断する基盤です。

パスポートが定義する4つの要素

AI Passportは暗号学的に署名された認証情報で、各エージェントに「アイデンティティ(誰か)」「許可されたアクション」「アクセス可能なシステム」「責任を持つオーナー」の4要素を紐付けます。この認証情報はServiceNowの「Super Intelligence Control Tower」から発行され、企業のCMDB(構成管理データベース)やGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)ポリシー、ワークフロー承認と連携して設定されます。IT部門が既存の管理体制の中にそのまま組み込める設計です。

対象はServiceNow製エージェントだけではありません。AI Passportは公開仕様で設計されているため、他のベンダーの認証プロバイダや製品でもパスポートを発行・検証できます。マルチベンダー環境で複数のAIエージェントを動かしている企業にとって、ポリシーの一元管理が現実的な選択肢になります。

実行中に逸脱を検知、3段階の制御で即座に遮断

従来のAI管理は事後のログ確認が中心でした。AI Passportはエージェントが動いている最中に割り込みます。パスポートの範囲を超えた操作を試みると、「リダイレクト(別経路へ誘導)」「制限(操作をブロック)」「強制停止(キルスイッチ)」の3段階で制御が入ります。

NVIDIAがローンチパートナーとして参加しており、「NVIDIA Open Agent Safety Platform」のランタイム(OpenShell)とセキュリティフレームワーク(Sentry)でこの制御を実装します。Anthropicも自律型AIの拡散リスクを警告しているように、エージェントが業務システムに直接アクセスする時代には、事前の権限設計と実行時の監視が両方必要です。

24%のガバナンスギャップが示す課題

ServiceNowが2026年に実施した銀行向け調査「AI Maturity Index」によると、回答した全銀行がAIを活用している一方、対応するガバナンスを整備済みと答えたのは24%にとどまりました。AIエージェントが稟議・調達・顧客対応などの業務フローに直接組み込まれるほど、「どのエージェントが何を許可されているか」を管理できていない状況は企業リスクに直結します。

AI Passportの一般提供は2026年第4四半期を予定しています。詳細はServiceNow公式プレスリリースで確認できます。

AIを使っているけどガバナンスは後回し、という状況、思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。

「エージェントが勝手に何かした」と気づいたときにはもう遅い、という事態を防ぐための仕組みがようやく整ってきました。実行中に止められる、というのは地味に見えて大きな変化です。

Q4の提供開始に合わせて、自社のAI利用状況を一度棚卸ししておくタイミングかもしれません。

FREE DOWNLOAD

実務で使えるお役立ちコンテンツを無料で見る

無料会員登録で、実務で使えるAIテンプレート・プロンプト・PDFを受け取れます。

全PDFにアクセスする(無料)

無料会員登録して受け取る